カレントテラピー 34-4 サンプル

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概要:
カレントテラピー 34-4 サンプル

60 Current Therapy 2016 Vol.34 No.4372とした既存の薬剤に対する単剤での優越性が第Ⅲ相ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)で証明されている.未治療例におけるDTICに対するベムラフェニブの優越性が証明されたBRIM- 3試験4),5),同様にdabrafenibの優越性が証明されたBREAK - 3試験6)の結果が報告されている.BRAF阻害剤による主な有害事象は,皮膚関連毒性(皮疹,光線過敏症,ケラトアカントーマあるいは有棘細胞癌,脱毛,手足症候群など)が最も多く,次いで関節痛,倦怠感,悪心,下痢,頭痛,発熱が挙げられ,頻度は低いが,ベムラフェニブによる重篤な放射線皮膚炎,QT延長,顔面神経麻痺,血中クレアチニン上昇などにも注意が必要である.また,ベムラフェニブによるGrade 3以上の有害事象は,75歳以上の高齢者で発現頻度が高かった7).また,脳転移に対するdabrafenib単剤の効果を検討した第Ⅱ相のBREAK -MB試験では,無症候性の脳転移症例が対象とされ,BRAF V600E変異を有し,脳転移に対する局所治療歴を有さない74例中29例(39.2%),局所治療歴を有する65例中20例(30.8%)において,脳転移巣の奏効〔完全奏効(completeresponse:CR)+部分奏効(partial response:PR)〕が得られている8).3 MEK阻害剤前治療1レジメンまでの症例におけるDTICもしくはパクリタキセル(PTX)に対するtrametinibの優越性が証明されたMETRIC試験9)の結果が報告されている.Trametinibによる主な有害事象は,皮膚関連毒性,下痢,浮腫であり,頻度は低いが,心駆出率の低下,間質性肺炎,網膜剥離や網膜静脈閉塞による視覚異常にも注意が必要である.4 BRAF+MEK阻害剤の併用療法BRAF阻害剤とMEK阻害剤を併用することにより,薬剤耐性の発現を遅らせ,BRAF阻害剤による有棘細胞癌の発生といった毒性を減らす治療戦略がある.Dabrafenib+trametinib併用療法では,dabrafenib単剤と比較する第Ⅲ相RCTであるCOMBI-d試験10 ),11),ベムラフェニブ単剤と比較する第Ⅲ相RCTであるCOMBI -v試験12)の結果が報告され,いずれにおいても併用療法での優越性が証明された.併用療法群では,有棘細胞癌を含む皮膚関連毒性の発症頻度が単独療法群に比べて低く,一方で,発熱,下痢,悪寒の発症頻度は高かった.また,ベムラフェニブとMEK阻害剤であるcobimetinibの併用療法では,ベムラフェニブ単剤と比較する第Ⅲ相RCTであるcoBRIM試験の中間解析結果が報告され,併用療法群での優越性が示されている13).有棘細胞癌を含む皮膚関連毒性の発症頻度は併用療法群で低く,一方で,網膜症,消化管毒性(下痢,悪心,嘔吐),光線過敏症,肝酵素やクレアチニンキナーゼ(CK)上昇の発症頻度は高かった.その他,BRAF阻害剤であるencorafenib(LGX818)とMEK阻害剤であるbinimetinib(MEK162)の併用療法を,encorafenib単剤およびベムラフェニブ単剤と比較する第Ⅲ相RCTであるCOLUMBUS試験も行われている.Ⅳ 免疫チェックポイント阻害剤免疫チェックポイント阻害剤は,がんの免疫逃避に関わるCTLA- 4やPD- 1/PD-L1・2経路を治療標的とし,宿主の免疫反応により抗腫瘍効果を発揮している.これまでに,抗CTLA - 4抗体であるイピリムマブ,抗PD - 1抗体であるニボルマブおよびpembrolizumabで,悪性黒色腫における有用性が第Ⅲ相RCTで証明されている.1 抗CTLA-4抗体イピリムマブでは,前治療不応例でのgp100に対するイピリムマブ(3mg/kg)の優越性が第Ⅲ相RCTで証明され14),その後未治療例でのDTICに対するイピリムマブ(10mg/kg)の上乗せ効果も第Ⅲ相RCTで証明された15).長期フォローアップデータでは,3年生存割合は20%程度で,3年生存した症例はそれ以降も長期生存することが示されている16).なお,現在承認されているイピリムマブの用量は,3mg/kgを3週ごとに計4回投与となっている.また,脳転移に対するイピリムマブ(10mg/kg)の効果を検討した第Ⅱ相試験では,無症候性の脳転移を有する51例中12例(24%),症候性の21例中2例(10%)において,治療開始12週後の脳転移巣の病