カレントテラピー 34-4 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.4 41手術療法353メラノーマの約半数を占める手掌,足蹠,手指や爪部などの四肢末梢部のALMは,少数にすぎないかそもそも解析対象に含まれていない場合も多い.したがって,これらのガイドラインや治療指針での切除範囲を,日本人の症例,特にALMにそのまま適応可能であるという科学的根拠に乏しいことに留意する必要がある.また,これらの基準はあくまで標準的な指標であり,これを守れば100%大丈夫といった絶対的基準ではない.したがって,実臨床において,個々の症例の発症部位やリンパ流,臨床経過,患者の全身状態なども考慮に入れながら,症例ごとに最善と思われる範囲を設定すべきであろう.Ⅴ 特殊な部位における切除範囲1 ALM爪甲の色素線条や,掌蹠や手指などの四肢末梢の境界不鮮明な色素斑として生じるALMでは,腫瘍の辺縁が不鮮明な例も多く,主病巣と離れた部位にinsitu 病変である小さめの色素斑が存在する例や,肉眼やダーモスコピーでメラノーマと鑑別しがたい生理的な色素斑が並存している例も少なくない.さらに,前述したfield cellは,むしろin situ 病変のほうがTTの厚い病変よりもやや広い範囲まで存在する5)とされている.したがって,こういったタイプのALMでは,腫瘍辺縁の確定に苦慮する場合が多く,ALM以外のタイプに比べて再発率も高い8)ため,慎重な観察眼が必要とされる.ALMは白人に多く見られるSSMよりも予後が悪いことが知られているが,多くのALMでは腫瘍辺縁部は表皮内病変であるため,例え切除断端に再発したとしても腫瘍細胞は表皮内に限局しており,追加切除を行うことで治癒に至らしめることが可能である.ALMで幅広い表皮内病変を有する例においては,腫瘍の最も厚い部分に合わせた切除範囲を,辺縁の色素斑部から設定すると,切除範囲が過大になりがちである.こういった例では,TTが薄い辺縁部分に合わせて切除範囲を設定すれば十分であると考えられるが,この点に関する明確な指針は定められていない.いずれにせよ,TTの薄い病変が主体のALMにおいては,あまり厳密に境界の設定を考えるよりも,再発や転移を注意深く監視することのほうが重要かつ現実的である.2 爪部日本人で比較的多く見られる爪部のメラノーマでは,皮下組織が薄いために下床との距離が短いことや,短軸方向に十分な切除範囲を取ることが難しいことから,以前は指趾の切断(離断)が選択されることが多かった.しかし近年では,切断せずにできるだけ小さな範囲で切除するfunctional surgery9)が行われるようになってきた.この術式は当初はin situ病変のみが対象とされていたが,近年ではある程度の厚みのある病変に対しても行われるようになってきている.しかし,functional surgeryにおける水平方向と深さの切除範囲の基準は,いまだ定められていない.そもそも表皮顆粒層を基点として腫瘤の厚みを測定するTTを,顆粒層の存在しない爪床部に適応することには無理があり,TTに応じて設定されている通常のメラノーマに対する切除範囲を,そのまま爪部のメラノーマに適応して良いのかといった問題もある.このため表層からの厚みではなく,爪床の骨からの距離で病期分類と切除マージンの設定を行う方法も提唱されている10).いずれにせよ,症例数の多いわが国からのエビデンス創出が期待される分野である.3 眼瞼眼瞼結膜や眼球結膜に及ぶものをどう取り扱うか,という具体的な指針は定まっていないが,機能温存のために,より小さめの切除範囲が選択される傾向にある.厚さが1mm以下の薄いものに対する切除範囲としては,通常の皮膚におけるin situ 病変と同様の5mm11)や,なかには3mm12)といった狭い範囲さえも提唱されている.Ⅵ 今後の課題現代においては,多くの臨床的データの解析結果によるエビデンスに基づいて,メラノーマに対する