カレントテラピー 34-4 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.4 23診断335を唱える意見がある8).MMでは6mmより小型の病変があり,これらでは暗黒色を呈するというものであるが,黒色のために気づかれるというバイアスのためであるという批判もある.2 Glasgow 7-point check-list英国を中心に用いられている一般の人や総合診療医などのための基準として,Glasgow 7-point checklistが知られている9).この基準には,major featuresとして,change in size(大きさの変化)・change inshape(形の変化)・change in color(色の変化)の3つとminor featuresとして,inflammation(炎症)・crusting/bleeding(痂皮・出血)・sensory change(感覚の変化)・diameter 7mm(7mm以上の直径)の4つがある.Major featuresは1項目が2点,minorfeaturesは1項目が1点として,3点以上はMMを疑い専門医に紹介するべきであるとされる.病変の変化に重点が置かれ,炎症・表面の状態や自覚症状に言及されている点で参考になると思われる.3 Ugly duckling sign(みにくいアヒルの子サイン)個人のなかで他の色素性母斑と異なる色素性病変は,MMを疑う必要があるというものである10).ダーモスコピー検査にも応用されるサインである11).Ⅴ ダーモスコピーなどの非侵襲的検査についてMMの最終診断は病理学的検査が必要であるが,非侵襲的な検査の進歩により,これらを用いて臨床的な診断やMMの疑いをもつことができるようになってきた1).また,非侵襲的な検査により不必要な皮膚生検を省くことが可能となる3).1 ダーモスコピー検査ダーモスコピー検査は,ダーモスコープと呼ばれる光源のついた約10倍程度の拡大鏡を用いて行う検査である.ゼリーなどを用いて角層での光の乱反射を抑制することで,肉眼では認識しづらい多彩な色素病変や血管病変などの観察が可能となる.色素性皮膚病変の非侵襲的な臨床診断法としてきわめて有用である12).日本人の悪性黒色腫は約3割が掌蹠に発生する一方,日本人の約10人に1人が掌蹠に色素細胞母斑を有するとされる.ダーモスコピーの登場以降,掌蹠メラノサイト病変の多くは生検を行わずに良悪性の判断ができるようになった13).皮溝優位の色素沈着である皮溝平行パターンや細線維状・格子様パターンでは色素細胞母斑の可能性が高く,皮丘の帯状色素沈着である皮丘パターンでは悪性黒色腫を疑う(図6a, b).表皮内MMでは,ダーモスコピー所見として,非定型色素ネットワーク(atypical pigment network)と灰青色消退構造(grey-blue regression)がよくみられる所見とされている6).足底や爪部などの色素性病変を定期的に撮影してデジタル画像として保存することにより,病変の変化を観察することができる(serial dermoscopic imaging).2 その他の非侵襲的検査について非侵襲的な検査として以下のようなものなどがある3),14).A)全身の写真撮影(total body photography)全身の写真を撮影して保存することにより,色素性病変の変化を見逃さないようにすることが可能である3).文字での記載に比べ一目瞭然である点で有用である.B)共焦点顕微鏡(reflectance confocal microscopy)共焦点顕微鏡は,レーザー光源を用いて高解像度図5 結節型黒色腫左足関節部に境界明瞭なドーム状の黒色結節を認める.