カレントテラピー 34-4 サンプル

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22 Current Therapy 2016 Vol.34 No.4334Ⅳ 悪性黒色腫の臨床的診断基準欧米ではMMが多くみられるため,早期のMMを臨床的に診断するための方法や基準が,特に色素性母斑との鑑別という点から,これまでいろいろと提案されてきた1)~3).1 ABCDE ruleMMの臨床診断の手がかりとして,一般の人や家庭医などに対して1985年に提唱されたAmericanCancer SocietyのABCD rule(criterion)がよく知られている4),5).これはMMの臨床的特徴の頭文字を並べたもので,現在は追加や変遷を経てABCDE ruleとなっている.表皮内MM(MM in situ )などの初期病変では,必ずしもこれらの項目に合致するとは限らないので注意を要する6).A)Asymmetry(非対称性形状)形状が左右非対称性である.B)Border irregularity(不規則な境界)境界が波打ってギザギザして不整であり,辺縁が不鮮明である.また,色素の周囲へのにじみ出しがある.C)Color variegation(多彩な色調)色調が均一でなく,色むらがある.黒褐色以外に,白色・青色・赤色などさまざまな色調を呈したり,色調に濃淡差があったりする.D)Diameter enlargement(大型の病変)長径が6 mm以上であることが多い.6 mm以上の色素性病変はMMを疑わなければならないが,6mm未満のMMも多くあるので注意が必要である4),7).E)Evolving(変化)大きさ,形,色調,表面の状態(出血など),症状(そう痒や圧痛など)に変化がある.後に特に結節性MMを見逃さないという観点から追加された項目である.また,MMの多くの例で患者自身が,病変の変化・進展を認識している.頭文字Eとして,これまでにEvolving(Evolution)以外にElevation of surface(表面の隆起)やEnlargement(拡大)が提案されてきたが,初期のMMは必ずしも隆起していないことやEnlargementは大きさだけに限ったものであるため,Evolvingが用いられるようになってきた4),5).Evolvingは,change,enlargement,elevationの概念を包括した用語とされている.また,頭文字Dとして,Difference(相違)を唱える意見があり,これは時間経過で外観や症状が異なるという意味や他の病変と異なるものであるという意味があり,後述の「ugly duckling sign」に通じるものがある.さらに,頭文字Dとして,Dark(暗黒色)図3 末端黒子型黒色腫左足の足底から第4, 5趾間にかけて,濃淡差のある境界不整な黒褐色斑があり,淡紅色結節を認める.図4 爪甲下黒色腫爪甲に黒色色素線条と爪周囲に色素のしみ出しを認める(Hutchinson徴候).