カレントテラピー 34-11 サンプル

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72 Current Therapy 2016 Vol.34 No.111112の確立が重要である.Ⅲ プロバイオティクスによる治療1 定義,種類,作用プロバイオティクスは,Fuller(1989)によって初めて提唱され2),現在,国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)により「十分な量を投与すれば宿主の健康に利益を与える生きている微生物」と定義されている3).この微生物のなかには細菌や酵母などが含まれる.プロバイオティクスには乳酸菌(Lactic acid bacteria),ビフィズス菌(Bifidobacteria),酵母(Yeast),バシラス菌(Bacillus)などの芽胞形成菌などが含まれる(表1).プロバイオティクスの作用は表2に示すように,抗菌作用や腸内フローラ改善作用などの微生物に対する作用,食物繊維などの栄養素の分解やビタミン類の合成,細胞間バリア機能の増強,マクロファージの活性化や過剰な免疫反応の調節,消化管運動の調節,コレステロール合成抑制因子の産生など代謝系への作用,抗腫瘍作用,肥満予防や神経系への作用など,多岐にわたる.菌種によって発揮する作用やその強弱は異なる.また,宿主側の腸内環境や細菌叢によっても影響を受けるため,個々の症例によって効能効果は異なってくる.2 疾患に対する効果1)抗生剤起因性腸炎抗生剤起因性腸炎は,抗菌薬の使用によって起こる腸内細菌叢の異常が重要な発症要因となっている.そのため,腸内細菌叢の改善を目的としてプロバイオティクスによる予防および治療が以前から行われてきた.2006年にMcFarlandが抗生剤起因性腸炎におけるプロバイオティクス投与の効果に関するランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った4).その結果,プロバイオティクス投与は抗生剤起因性の下痢のリスクおよび偽膜性腸炎の発症リスクを低下させることが明らかになった〔それぞれ,相対危険度(relativerisk:RR)0.43と0.59,95%CI 0.31- 0.58と0.21-0.85〕.その後,Johnstonら,Goldenbergらも,偽膜性腸炎を対象として同様のメタ解析を行い,抗菌薬使用後の偽膜性腸炎の発症リスクがプロバイオティクス投与によって約1/3に低下することを示した5),6).抗菌薬投与時にはプロバイオティクスを併用することが推奨される.表2 主なプロバイオティクスの作用1.微生物に対する作用抗菌作用(病原菌の抑制,バクテリオシンの産生など)腸内フローラのバランス改善2.食物の分解・合成食物繊維の分解ビタミン類の合成補助3.細胞防御機能の増強作用バリア機能の増強4.免疫調節作用マクロファージの活性化過剰な免疫反応の調節5.消化管運動の調節作用6.代謝系への作用コレステロール合成抑制因子の産生7.抗腫瘍作用発癌物質の分解腫瘍増殖の抑制,アポトーシス誘導8.その他肥満抑制作用神経系への作用など表1 主なプロバイオティクスの種類A:Lactic acid bacteria(1)Lactobacillus spp.:L. acidophilusL. lactisL. caseiL. rhamnosisL. plantarumL. murinusL. reuteriL. brevis(2)Leuconostoc spp.:L. mesenteroides(3)Pediococcus spp.:P. cerevisiaeP. acidilacticis(4)Streptococcus spp.:E. faeciumE. faecalisS. thermophilusB:BiffidobacteriaBifidobacteria spp.:B. pseudolongumB. thermophilumB. longum/animalisB. breve/infantisC:Yeast and mouldsSaccharomyces spp.:S. cerevisiaeS. fragilisS. boulardiiTorulopsis spp.Aspergillus oryzaeD:Spore formersBacillus spp.:B. cereusB. toyoiB. licheniformisB. subtilisClostridium spp.:C. butyricum