カレントテラピー 33-12 サンプル

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カレントテラピー 33-12 サンプル

80 Current Therapy 2015 Vol.33 No.121222担うのは,拡張期の緩徐脱分極であり,If 電流はその脱分極に関与する.心臓の過分極活性化環状ヌクレオチド依存性(hyperpolarization-activated cyclicnucleotide gated:HCN)チャネルには4つのサブタイプがあるが,洞結節細胞にはHCN 4が多く,これがIf電流の形成に主要な役割を果たすと考えられている3).一方,心室ではHCNの発現頻度は低く,If電流はごくわずかである.If電流は心拍数調節に重要な役割を果たすことから,HCNチャネルを介してIf 電流を調節し,特異的に心拍数のみを低下させる薬剤の開発が進められた.そのうち,臨床応用にまで至った薬剤がivabradineである(図2)4).2)臨床試験のエビデンス(1)BEAUTIFUL試験2008年,左室機能障害を有する安定冠動脈疾患患者において,標準治療へのivabradine追加投与による心拍数低下が心血管死および合併症を抑制するかを検討した無作為割付二重盲検試験の結果が発表された5).対象は,55歳以上,左室駆出率40%以下,拡張末期径56 mm以上,安静時洞調律,心拍数60拍/分以上の安定冠動脈疾患患者10 ,917名である.無作為にivabradine群とプラセボ群に割り付け,その後の予後を評価した.心血管死,急性心筋梗塞による入院,心不全の新規発症および増悪による入院は,両群間に有意な差は認められなかった.しかし,心拍数70拍/分以上の患者では,ivabradine群において,心筋梗塞による入院(ハザード比0.64,p=0.001),急性心筋梗塞あるいは不安定狭心症による入院(ハザード比0.78,p=0.023)の有意な減少が認められた(図3)5).この拡張期脱分極mVIf電流0-20-60細胞内細胞外a bK+Iv Iv Na+IvIvIv+- -+ --++++++++++++++図2 If 電流とivabradineの作用Iv:ivabradine〔参考文献4)より引用改変〕2020 40 60 80501003006001,000心拍数拍/分ハムスターマウスモルモットサルラットイヌネコトラロバライオンキリンヒトクジラクジラゾウウマ平均寿命,年図1哺乳類の心拍数と寿命〔参考文献1)より引用改変〕