カレントテラピー 33-12 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.12 37慢性心不全の治療1179・収縮能が低下した心不全例に対する降圧療法Class Ⅰ ACE阻害薬(A),ARB(A),β遮断薬(A),利尿薬(B),アルドステロン拮抗薬(B)Class Ⅱa 長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(B)・収縮能が保たれた心不全例に対する降圧療法Class Ⅱa ACE阻害薬(C),ARB(C)2 冠動脈疾患虚血性心疾患は,成人の心不全の原因として多くを占めその予後は非虚血性の心不全患者よりも悪いとされている.しかし,経皮的冠動脈形成術(percutaneouscoronary intervention:PCI)や冠動脈バイパス手術(coronary artery bypass graft:CABG)により心機能の回復が期待できる症例も存在する.薬物療法にあたっては,心筋虚血,心不全,冠危険因子を考慮し,二次予防の観点から薬剤を選択する必要がある.β遮断薬は左室収縮能低下例や労作性狭心症例で症状を改善し,心血管イベントを抑制し,さらに予後を改善する8)が,冠攣縮性狭心症では増悪することがあるので注意を要する.硝酸薬は血行動態改善作用があるが,長期予後改善は明らかになっていない.短時間作用型のCa拮抗薬は収縮能低下例で心不全悪化と死亡を増加させるという報告がある.ACE阻害薬やARBは心不全改善効果だけではなく,内皮機能改善効果も示されており,使用が推奨される.強心薬は心筋酸素需要量を増加させ,心筋虚血が増悪する可能性があり注意を要する.Class Ⅰ 狭心症例への硝酸薬(B),冠攣縮性狭心症のない例でのβ遮断薬(A),ACE阻害薬(A),ARB(A)Class Ⅱa 長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(B)Class Ⅲ 冠攣縮性狭心症のある例でβ遮断薬の単剤使用(B)3 腎機能低下例腎機能低下は慢性心不全例の強力な予後規定因子であり,心不全例のうちの多くの症例が慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)を合併している.慢性心不全治療においてACE阻害薬やARBの有効性は確立しているが,腎機能低下例においては血清クレアチニン値やカリウム値の上昇などに注意しながら投与することが必要である.具体的には少量から開始し,開始後1週間以内に血清クレアチニンを測定する.①前値の30%以上の上昇,②前値が2.0mg/dL未満の症例では0.5mg/dL以上の上昇,③前値が2.0mg/dL以上の症例では1.0mg/dL以上の上昇,のいずれかがあれば減量してクレアチニン値を1週間後に再検査する.アルドステロン拮抗薬についてはその有効性を示した大規模臨床試験10),11)では血性クレアチニン値が2.5mg/dL以上の症例を除外しているため中等度以上の腎機能低下例にはエビデンスがなく,高カリウム血症に注意が必要である.・非透析腎機能低下例Class Ⅰ ACE阻害薬(A),ARB(A),β遮断薬(A),利尿薬(C)Class Ⅱa アルドステロン拮抗薬(B),ジギタリス(B),高血圧合併例へのCa拮抗薬(C)Class Ⅲ 両側腎動脈狭窄を有する例へのACE阻害薬やARBの投与・透析例Class Ⅰ β遮断薬(B)Class Ⅱb ACE阻害薬(B),ARB(B)4 糖尿病合併例糖尿病は心不全の強力な危険因子であり,フラミンガム研究では糖尿病例は男性で2倍,女性で5倍の心不全発症リスクがあるとされている.日本の心不全研究では心不全例の30.7%が糖尿病を合併していた17).糖尿病合併心不全例では特に推奨される治療はなく,一般の心不全例と同等であり,ACE阻害薬とARBについては糖尿病例と非糖尿病例においてその効果は同等であるとの報告がある.チアゾリジン誘導体は心不全を悪化させることがあり,AHA -ADAのガイドライン18)では,NYHAⅠ~Ⅱ度では少量からの使用,NYHAⅢ~Ⅳ度では使用を避けるように勧告している.Class Ⅰ ACE阻害薬(A),ARB(A),β遮断薬(A),利尿薬(C)Class Ⅱa アルドステロン拮抗薬(C)