カレントテラピー 32-6 サンプル

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72 Current Therapy 2014 Vol.32 No.6578Ⅱ SSRI1 薬理作用現在わが国で発売されている20種類の抗うつ薬のうち17種類はノルアドレナリンまたはセロトニンの再取り込み阻害薬であり,これらの神経伝達物質の細胞外濃度を脳内で数倍まで増加させる.そのうち,セロトニン再取り込み阻害作用のみをほぼ有する抗うつ薬がSSRI(表1, 2)であり,現在国内ではフルボキサミン, パロキセチン, セルトラリン, エスシタロプラムの4種類が発売されている.表1は個々の抗うつ薬のモノアミン再取り込み阻害作用,受容体遮断作用の力価を示したものであり,数値が小さいほど阻害・遮断作用が強いことを示している1).SSRIの主作用はその名が示すとおりセロトニン再取り込み阻害作用であるが,パロキセチンは弱いノルアドレナリン再取り込み阻害作用と抗コリン作用を有し,セルトラリンは弱いドパミン再取り込み阻害作用を有する(表1, 2).動物実験では,セルトラリンは側坐核,線条体で軽度の細胞外ドパミン濃度増加作用を示す3).その他,フルボキサミンはσ1受容体アゴニスト作用を有し,一部のSSRIはニューロステロイド増加作用を有するなど,それぞれのSSRIは薬理作用の点では異なる(表2).このような薬理作用の違いが臨床効果とどのように関連するかは明らかではないが,SSRIから別のSSRIに変更することが有効であることの理由にはなり得る4),5).2 臨床効果・副作用SSRIはうつ病・うつ状態に対する効能の他,さまざまな不安障害に対する効能も有する(表3).したがって,SSRIは抗うつ薬であるとともに抗不安薬ともいえるし,この点が他の抗うつ薬とは異なる表1 抗うつ薬の受容体に対する親和性(遮断作用,nM)と再取り込み阻害作用(nM)一般名商品名本邦での使用ドーパミンD2アドレナリンα1アドレナリンα2セロトニン5-HT2セロトニン5-HT3ムスカリン性アセチルコリンヒスタミンH1ノルアドレナリン再取り込み阻害セロトニン再取り込み阻害ドーパミン再取り込み阻害三環系抗うつ薬イミプラミントフラニール? 発売2,000 90 3,200 80 >10,000 90 11 13 42 5,110アミトリプチリントリプタノール? 発売1,000 27 940 29 631 18 1.1 24 66 2,300SSRIfluoxetine  未発売(開発中) 32,000 5,900 13,000 210 >10,000 2,000 6,200 280 12 1,600フルボキサミンルボックス?,デプロメール? 発売68,000 7,500 15,000 5,600 24,000 109,000 500 7 5,000パロキセチンパキシル? 発売32,000 4,600 17,000 19,000 108 22,000 33 0.7 1,700セルトラリンジェイゾロフト? 発売10,700 380 4,100 9,900 630 24,000 220 3.4 260エスシタロプラムレクサプロ? 発売>1,000 >1,000 >1,000 >1,000 >1,000 >1,000 >1,000 2,500 2.1 40,000SNRIミルナシプラントレドミン? 発売>10,000 >10,000 >10,000 >10,000 >10,000 >10,000 11 44 >10,000venlafaxine 未発売(開発中) >35,000 >35,000 >35,000 >35,000 >10,000 >35,000 >35,000 210 39 5,300デュロキセチンサインバルタ? 発売14,000 8,300 >1,000 >10,000 3,000 2,300 5 16 369NaSSAミルタザピンリフレックス?,レメロン? 発売>1,000 316 63 32 20 398 3 >1,000 >1,000 >10,000〔参考文献1)より引用改変〕表2 SSRI間の薬理学的相違Fluoxetine(国内未発売):5-HT2C受容体遮断作用(細胞外NA, DA増加作用),ニューロステロイド増加作用フルボキサミン:σ1受容体アゴニストパロキセチン:高用量でノルアドレナリン再取り込み阻害作用,ニューロステロイド増加作用セルトラリン:ドパミン再取り込み阻害作用,ニューロステロイド増加作用エスシタロプラム:なし※ニューロステロイド(例えばGABAA受容体刺激作用を有するallopregnanolone)増加作用は3α-HSD活性上昇によるセロトニン再取り込み阻害作用に加えて上記の作用を有する.〔参考文献1)より引用改変〕