カレントテラピー 32-5 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.5 25439Ⅰ はじめに近年,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の治療薬は著しい進歩を遂げているが,それに伴い,適切な治療を行う戦略として,目標達成に向けた治療(Treat-to-Target:T2T)の概念が導入された1).T2Tにおいては,治療目標がまず臨床的寛解と設定され,その疾患活動性を判定するために,関節所見を含む総合的疾患活動性指標を使用することが推奨されている.RAは関節炎を主体とする慢性炎症性疾患であるが,その表現型は,関節炎の強さに比して血液検査所見に乏しい例や全身倦怠感が前景となる例など多様であり,診察所見,患者自己評価,血液検査所見などから計算する総合的疾患活動性指標によって包括的評価が可能となる.本稿では,複数ある総合的疾患活動性指標とその特徴を概説する.Ⅱ 疾患活動性の評価項目疾患活動性の評価項目に主として用いられるのは,関節所見,急性相反応物質,患者による全般状態評価,医師による全般状態評価である.1 関節所見関節所見は,関節炎を示す所見である腫脹,圧痛のある関節数で表現される.評価関節は,複合指標の原型であるdisease activity score(DAS)では,顎,頚椎,胸鎖,足,距踵,中足根,中足指節関節を含めた44関節が対象であるが,現在汎用されているDAS28では,中手指節,近位指節間,肘,肩,膝の28関節と定められている(図1).診察の注意点として,関節腫脹は関節周囲軟部組織の腫脹を関節辺縁で診ること,骨性腫脹(へバーデン結節,ブシャール結節など)は関節炎とはみなさないこと,圧痛は爪が白くなる程度の圧力で押して判定すること,などが挙げられる.総合的疾患活動性指標金子祐子*関節リウマチの疾患活動性は単一の項目による評価は不十分であり,腫脹・圧痛関節数,炎症反応,患者・医師全般評価などを用いて,客観的かつ総合的に評価する必要がある.現在汎用されている総合的疾患活動性指標は,DAS28, SDAI, CDAIで,これらを用いることによって活動性の数値化をし,それぞれについて定義された寛解または低疾患活動性を目標として治療を適正に調整していくことが可能である.総合的疾患活動性指標を正確に算出するためには,関節を正しく診察し,患者の全身状態を把握して炎症反応を適切に判断することが重要であり,さらに各総合的疾患活動性指標の特徴を認識しながら,適正に使用することが大切である.* 慶應義塾大学医学部内科学教室リウマチ内科助教関節リウマチ―診断と治療の進歩