カレントテラピー 32-5 サンプル

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44 Current Therapy 2014 Vol.32 No.5458疾患活動性の改善,骨破壊の抑制に有効であることが示されている12).2)作用機序T細胞,B細胞の機能抑制作用や,破骨細胞の増殖を抑制し,インターロイキン(IL)-6やIL -8などのサイトカインの産生を抑制する作用が報告されている.3)投与量と投与方法副作用軽減のため100mg/日から開始し,300mg/日まで適応が認められているが,副作用が多くなることが報告され13),100~200mg/日で投与することが多い.4)副作用と対処方法使用成績調査では,全体の副作用発現率は23.3%で,主なものとしては,皮疹や掻痒感などの皮膚障害,蛋白尿などの腎障害,口内炎,胃痛,腹痛などの胃腸障害,がある.まれだが,間質性肺炎,血液障害,黄色爪などもある.腎障害は膜性腎症によることが多く,本剤の中止により多くは改善する14)が,ネフローゼ症候群が遷延する場合はステロイド投与が行われる場合もある.発現頻度は投与後6カ月以内が多いが,それ以降でも発現しており,定期的な検査を行うことが必要である.4 タクロリムス1)位置づけTACは1984年にわが国で開発され,移植領域において使用されている免疫抑制薬で,2005年にRAへの保険適用が追加された.MTXや生物学的製剤が使用できない症例や効果不十分症例に追加して使用されることが多い.MTXとの併用療法ではTAC少量でも有用であることが報告されている15).2)作用機序TACはT細胞の細胞質内でFK506結合タンパクと結合し,カルシニューリンの活性化を阻害することで,T細胞の活性を抑制する.また,他剤の治療効果減弱に関与するP糖タンパクを阻害し,薬剤抵抗性を改善させる作用がある16).3)投与量と投与方法服用12時間後の血中濃度が10ng/mL以上では重篤な副作用が増えることが知られており,血中濃度をモニタリングしながら3mg/日1回投与まで使用できる.肝臓のCYP3A4により代謝されるため,同様にCYP3A4で代謝されるマクロライド系抗菌薬・アゾール系抗真菌薬・カルシウム拮抗薬・グレープフルーツなどの併用は血中濃度が上昇することがあるため,併用には注意が必要である.4)副作用と対処方法RA患者の使用成績調査では,全体の副作用発現率は36%であった.主な副作用は,腎機能障害,消化器症状,感染症,耐糖能異常であった.副作用出現時は,本剤の減量や中止で改善することが多い.消化器症状は服用1カ月以内の出現が多く,メトクロプラミドやドンペリドンなどの併用で軽減できることが多い.頻度は少ないが,薬剤性肺炎,血液障害なども報告されている.副作用発現のリスクには,高齢者,低体重,間質性肺炎,腎機能障害,耐糖能障害,ステロイド服用などがあり,これらの症例には慎重に投与する.5 イグラチモド1)位置づけイグラチモドは日本で開発された薬剤で,1991年から治験が開始されて2012年に承認された.SASPに対する非劣性17)や,MTX併用による有用性18)が示されている.今後,有用性や安全性のデータが蓄積され,DMARDsの選択肢のひとつに位置づけられることに期待したい.2)作用機序NF -κBの活性を阻害することで,炎症性サイトカインや免疫グロブリンの産生を抑制することが示唆されている.3)投与方法と安全性25mg/日を1回投与で開始し,4週間以上の服用後も肝障害などの副作用が出現しなければ,その後50mg/日を2回分割投与に増量する.2012年9月~2013年6月の期間での全例調査では,2,700例中副作用は318例459件報告された.主な副作用は,肝胆道系障害と胃腸障害であった.重篤な肝障害や消化管潰瘍のある症例,およびワルファリンとの併用は禁忌である.また,消化管潰瘍の既往がある患者には慎重投与する.