カレントテラピー 32-5 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.5 43薬物治療457症例などの副作用をもつ危険因子がある症例は2~4mg/週で開始する.服用方法は単回投与でも可能だが,8mg/週までは12時間ごとの2~3回分割投与,MTX 8mg/週を超えれば12時間ごとに2~4回の分割投与が推奨されている2).効果不十分な場合は,リスク・ベネフィットを考慮し,MTX 16mg/週まで漸増可能である.4週ごとに効果判定した症例のほうが,3カ月ごとに評価した症例よりも寛解率が高く,関節破壊も進行しなかったため3),4),4~8週ごとに有効性を判定することが望ましい.投与禁忌は,妊婦や授乳婦,重症感染症,重大な血液疾患,肝障害,高度な腎障害,高度な呼吸器障害,胸水,腹水を有する症例である.また高齢者,低アルブミン血症,腎障害,肝障害,間質性肺炎などを有する症例には,慎重に投与する.4)副作用と対処方法用量依存性の副作用は,消化器症状(口内炎,下痢,食欲不振),肝酵素上昇,血球減少,脱毛などがある.これらの副作用の予防と治療には,葉酸を通常5mg/週をMTX最終服用後の24~48時間以内に投与する5).葉酸併用後も副作用が持続する場合には,MTXを減量,中止する.頻度は少ないが,重篤な副作用として,MTX肺炎,骨髄抑制,ニューモシスチス肺炎などの日和見感染症や,B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化,リンパ増殖性疾患などがある.MTX肺炎が疑われた際にはMTXを中止し,ステロイドを投与する.また重篤な骨髄抑制が出現した際に,MTXを中止しロイコボリンを投与する.HBV既感染例においてHBV-DNAが陽性化した際には,MTXは中止せず消化器内科専門医に相談し,リンパ節腫脹を認めた際には,MTXを中止し血液内科医に相談する.2 サラゾスルファピリジン1)位置づけSASPは世界的に広く使用されており,多くの無作為対照試験やメタ解析で有効性が確認されている.また,SASPの骨破壊抑制効果も報告されている6).本邦での厚生労働省研究班の作成した『診断のマニュアルとEBMに基づく治療ガイドライン』では,推奨度A(行うよう強く勧められる)に判定され,比較的早期で軽症~中等症の症例がよい適応とされている7).一方,欧州リウマチ学会の勧告では,MTXが禁忌か忍容性がない場合の選択肢としてSASPが推奨されている1).併用療法ではMTXとの併用が多いが,有用性を認めたものから8),単独療法と同等とする9)報告までさまざまである.2)作用機序T細胞やマクロファージからの炎症性サイトカイン産生を抑制する作用や,破骨細胞分化誘導因子(receptor activator of NF-κB ligand:RANKL)の発現を抑制し破骨細胞の分化を抑制する作用などが報告されている.3)投与量と投与方法副作用の軽減のために少量の500mg/日から開始し,副作用がなければ漸増し,1g/日分2までの投与が推奨されている.4)副作用と対処方法本邦の使用成績調査では,全体の副作用発現率は21.5%であった.発疹などの皮膚障害が最も多く重症例も報告されている.次いで胃腸障害が多く,血液障害,肝障害なども報告されている.まれではあるが,無菌性髄膜炎や全身性エリテマトーデス様症状の報告もある.本剤の減量で治療継続できる場合も多いが,中止しても改善しない場合は,ステロイドなどを検討する.副作用発現は投与3カ月以内が多い.投与開始後最初の3カ月は,2週間に1回の血液学的検査と肝機能検査を行い,それ以降も定期的なモニタリングが必要である.3 ブシラミン1)位置づけBUCはわが国で開発され,D-ペニシラミンと類似の構造をもつシステイン誘導体である.適応承認されている国は,本邦と韓国のみである.本邦で厚生労働省研究班の作成した『診断のマニュアルとEBMに基づく治療ガイドライン』では,推奨度Aに判定され,比較的早期で中等度以上の症例が適応と考えられている7).当施設でのIORRAコホートを用いた解析10)や本邦での多施設共同研究11)で,有効性が示されている.また,MTXとの併用療法のほうが,