カレントテラピー 32-5 サンプル

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カレントテラピー 32-5 サンプル

26 Current Therapy 2014 Vol.32 No.54402 急性相反応物質急性反応性物質とはC反応性タンパク(C -reactiveprotein:CRP),赤血球沈降速度(erythrocytesedimentation rate:ESR)を指す.日常臨床では,測定しやすく,ESRのように貧血や免疫グロブリン高値などの影響を受けにくいCRPが汎用されている.後述する総合的疾患活動性指標は,CRPまたはESRが使用される計算式となっている.3 患者および医師による全般状態評価全般状態評価とは,患者と医師がそれぞれ100mmの直線(visual analog scale:VAS)上に,最もよい状態を0,最も悪い状態を100とする形で,現在の状態を示すことで評価する.Ⅲ 総合的疾患活動性指標RAでは疾患の複雑性から,高血圧の血圧値,糖尿病のHbA1c値などのように単一の指標で疾患の状態を判断することはできない.そのため,前述した腫脹関節数,圧痛関節数,炎症反応,患者および医師による全般状態評価を用いて,決められた計算式で疾患活動性のスコアを算出する.現在頻用されているのは,DAS28,simplified disease activityindex(SDAI),clinical disease activity index(CDAI)である(表1).1 DAS28複合指標の原型であるDAS2)は44関節を使用し,各関節の圧痛を評点するなど煩雑であったため,足と首を除く28関節を使用し,腫脹・圧痛ともに有無のみで評価するDAS283)が広く用いられるようになった.DAS28はESRを使用するが,ESRの代用としてCRPを用いるDAS28 - CRP,患者全般状態評価が利用できない際に決められた定数を用いるDAS28-3variableも存在する.しかし,DAS28-CRPはESRを用いたDAS28より低く見積もられることが知られており4),5),活動性評価の基準値を使用する際には注意が必要である.2 SDAIDAS28はDASを簡便にしたものであるが,それでも計算式に対数,平方根が入るなど,計算が複雑であった.またDAS28は,患者全般評価と疼痛関節数の重みが大きく,関節炎を直接的に反映する腫脹関節が多数残存していても,寛解と判定されてしまう可能性が問題視されていた6).そこで,28関節の腫脹関節数,圧痛関節痛,患者全般VAS,医師全般VAS,CRPを単純に加算して算出できるSDAI 7),8)が開発された.ESRではなくCRPが正式な炎症反応として採用されたことや,医師VASが評価項目に入っていることが特徴である.3 CDAI血液検査結果がすぐに得られない臨床現場での使用を可能とするため,計算式からCRPを除いたCDAIも同時に提唱された.総合的疾患活動性において,炎症反応が寄与する程度は小さいという報告もあり7),関節所見と患者・医師全般評価のみで疾患活動性の推測は,ある程度可能と考えられる.4 Boolean寛解基準さらに,2011年,米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会は協同で,新しい寛解基準を発表した.それまで一般的に使用されていたDAS28寛解では十分図1 疾患活動性計算式に使用する評価28関節