カレントテラピー 32-2 サンプル

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62 Current Therapy 2014 Vol.32 No.2162Ⅰ わが国の専門医制度の歩みわが国の専門医制度の歴史は100年余の歴史を刻む米国と比べて浅く,1962年に日本麻酔指導医制度の発足が始まりである.その後脳神経外科学会,皮膚科学会,小児科学会等が次々と認定医制度を立ち上げ,1981年には認定医制度をもつ22学会からなる“学会認定医制協議会”が活動を開始し,学会相互に意見交換をすることによりわが国の専門医制度が大きく前進することとなった.その後,日本医学会,日本医師会との間で三者懇談会が開催されるようになり,学会のメリット優先から社会的視野に立つ専門医制度の整備についての熱い議論がなされる状況も生まれた.しかし,2002年に厚生労働大臣告示“専門医広告に関する基準・手続き等”(いわゆる外形基準)が規制緩和の一環として発出されたことにより状況が大きく変化することになった.すなわち,外形基準を満たす学会であれば,その学会が認定する専門医は広告が可能となり,多くの学会がこぞって専門医制度を立ち上げることとなったのである.国民にとって理解し難い“学会認定の専門医”が数多く誕生することになった.その後学会認定医制協議会は,専門医認定制協議会,中間法人日本専門医認定制機構を経て,2008年に社団法人日本専門医制評価・認定機構(専認構)となった.“専認構”では専門医制度の標準化を目指して専門医制度整備指針や概報を毎年発行し,加第三者機関による新たな専門医制度とは池田康夫*2013年3月に厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告書が発表され,わが国新しい専門医像の概要が明らかになった.この検討会は2011年10月に発足し,日本医学会,日本医師会,大学関係者,地方自治体等の医学・医療関係者のほか,法律家や患者の立場を代表する方々が委員として毎月の検討会に参加し,合計17回に及ぶ真摯な議論の結果,全委員の合意のもとに報告書がまとめられることになった.これを機にわが国の専門医制度が大きく変わろうとしているが,そのなかでも特筆すべきことは,これまで各診療領域の学会がそれぞれに制度設計をして専門医の認定・資格更新をしてきた仕組みを改め,中立的第三者機関を新たに設けてそこで認定・更新を行うことにより公に認められる資格としての専門医を確立しようというものである.学会と緊密に連携しながら研修プログラムに基づく専門医の育成など新たな取り組みもそこには盛られている.本稿では第三者機関の創設によりわが国専門医制度がどのような方向に進んでいくのか? 新たな専門医制度の概要について解説するとともに,新たな制度をスムーズに運用するに際しての課題についても述べてみる.* 社団法人日本専門医制評価・認定機構理事長/早稲田大学理工学術院先進理工学部教授総合診療―その歴史と現在,未来