カレントテラピー 32-2 サンプル

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46 Current Therapy 2014 Vol.32 No.2146的に対応ができる.②日常よくみられる病気の診断・治療に豊かな知識をもち,何かひとつは専門領域を,しかも診察技術は優れ,「医の心」をもっている.③病院との連携,紹介,退院後のケア.④生涯学習,である.永井友二郎氏(内科・小児科開業医 実地医家のための会世話人)は,日本の医療の歴史のなかで家庭医的なものとして開業医がどのような歴史をもって今日まで至ったかに注目して話を進めている.その機能は大学の内科にあったと.昭和30年代以降,専門化,細分化したことで,家庭医たちの拠り所の性格を失った.38年実地医家のための会をつくり,医療における人間復活の活動として位置づけているとして,いきなり家庭医制度をつくるのでないとした.伴信太郎氏(当時 国立長崎中央病院プライマリ・ケア医師)は米国へのプライマリ・ケア医師研修留学の経験から,特に卒後3年間の研修の詳細について述べている.このなかで卒後研修のなかにプライマリ・ケアのための特別なプログラムを組んでいるのは,家庭医科と内科と小児科の3つのレジデンシーであると.Ⅳ おわりに卒後臨床研修制度が導入された昭和43(1968)年以降,53年3月時点までの医療審議会において,プライマリ・ケアとは,一般に個人や家族と最初に接する保健医療である.ここでは,医師は初診患者の問題を適確に把握して適切な指示,緊急に必要な処置の実施および他の適切な医師への委託等を行い,また,個人や家族の継続的健康の保持および慢性疾患の継続的な治療とリハビリテーションについて,いわゆる主治医としての役割を果たすことをいう.しかも,わが国においてプライマリ・ケアの意味に用いられている言葉としては「一次医療」,「基本医療」,「初期医療」,「前線医療」などがあるが,いずれもプライマリ・ケアを意味することを完全に表しているものとはいえない.したがって,ここではあえて日本語訳を用いることを避け,単に「プライマリ・ケア」として表現するにとどめた.家庭医懇報告書には,養成に関する小委員会からは家庭医機能を担う医師の養成カリキュラムが一般研修目標と具体的目標として作成されている.このカリキュラムの特徴は,患者と医師の信頼関係の確立や日常的な健康問題に総合的,かつ包括的医療が実践できる医師の養成を目標にしたとしている.したがって,従来の医学教育のなかでは必ずしも十分には取り上げなかった面接技法,カウンセリング,生命倫理,コモンディジーズ,行動科学,心身医学,在宅医療(ターミナル・ケアを含む),臨床疫学などの研修が重視されている.結果的には,当時の家庭医懇で議論され,提案されたもののすべてが,今日議論されている家庭医,ひいては総合診療医に相通ずるものであったというべきであろう.長い経緯のなかで,まさに失われた30年ともいうべきであり,その結果これからどうすればよいのか,真剣に議論を尽くし,国民の誰もが信頼できる質の高い真の家庭医,総合診療医を創出しなければならない.参考文献1)厚生省健康政策局総務課編:家庭医に関する懇談会報告書.厚生省健康政策局総務課,第一法規出版,東京,19872)Flexner A:Medical Education in the United States and Canada.A Report to the Carnegie Foundation for the Advancementof Teaching. New York, 19103)日野原重明:医の道を求めて─ウィリアム・オスラー博士の生涯に学ぶ─.pp596-597,医学書院,東京,19934)Millis J.S:The Graduate Education of Physicians. Report ofthe Citizens Committee on Graduate Medical Education.American Medical Association, 19665)岩﨑 榮:地域医療の基本的視座─実践・教育・研究の統合を求めて─アメリカ家庭医制度の概要.pp82-83,ベクトル・コア,東京,19906)木村隆徳:家庭医学はGPへの逆行か─家庭医と一般医の相違─.medicina 19:1904-1905, 19827)財団法人 へき地振興財団:わが国の医療におけるプライマリ・ケアの研究.pp23-39,財団法人 へき地振興財団,栃木,19848)岩﨑 榮,高柳和江編:人間医療学(医療の櫃の変遷).pp181-215,南山堂,東京,19979)医療保障政策研究会:医療保険政策の構想─低成長下における医療保障のあり方─(下).健康保険 5:30-45, 198310)日本医師会:昭和59年度日本医師会医療システム研究委員会答申 家庭医について.pp1-10, 日本医師会医療システム研究委員会,1985