カレントテラピー 32-10 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.10 83治療薬解説1031骨肉腫が発生するとされるが,テリパラチドで治療された30万人以上の患者のなかで,骨肉腫の報告例は一例であり,この例でもテリパラチド投与と骨肉腫の因果関係は明らかではないとされている.テリパラチドは投与期間が生涯を通じて24カ月までと限定されていることもあり,骨肉腫の発生リスク増加はほぼ無視できると考えられる.2)ヒト合成PTH1-34 週1回投与(テリボンR)わが国では化学合成によるテリパラチドの56.5μg週1回皮下注による骨粗鬆症治療効果が独自に検討されてきた.72週の投与により,骨粗鬆症による脆弱性椎体骨折の新規発症はプラセボ群の6.6%に対し1.6%まで抑制されることが示されている10).骨形成マーカーである血中オステオカルシン濃度は投与4週目で有意な上昇が認められ,少なくとも48 週までその効果は持続した.一方,骨吸収マーカーである尿中NTXは投与4週目から低下を認め,72週の投与期間中,テリパラチド群ではプラセボ群を下回るという結果が得られた.1日1回投与に対して週1回投与で認められた骨吸収マーカー抑制効果は特筆すべきものであるが,その機序や臨床的意義については今後の検討課題である.5 活性型ビタミンD3製剤活性型ビタミンD3製剤の骨粗鬆症治療における意義は,不足するビタミンD作用の充足が第一であるが,活性型ビタミンD3 誘導体であるエルデカルシトールにはそれ以外の利点も認められる.従来より広く用いられてきたアルファカルシドールを対照とした臨床試験では,エルデカルシトール投与により中等度の骨吸収マーカーの抑制が認められ,アルファカルシドールに比べて骨密度上昇効果と椎体骨折の抑制効果に優れることが明らかにされている11).したがって,骨粗鬆症治療における単独使用としては,アルファカルシドールよりもエルデカルシトールが推奨される.6 骨粗鬆症治療薬の切り替えと併用テリパラチドは「骨折の危険性の高い」骨粗鬆症患者に用いることとなっており,すでにビスホスホネート製剤やSERMを投与されている患者が対象となることが多い.これまでの検討では,ビスホスホネートやSERMからテリパラチド(1日1回投与)へ切り替えた場合にも骨密度上昇効果が認められている(図4).また,ビスホスホネート製剤を中止してテリパラチドを開始するまでの間に休薬期間は必要ないとされている.一方,テリパラチドは使用期間に制限があることと,投与終了後には速やかな骨密度低下を認めることから,テリパラチドから骨吸収抑制薬への切り替えが必要とされる(図4).この場合の骨吸収抑制薬はビスホスホネート製剤が一般的であるが,デノスマブやSERMのラロキシフェンという選択肢もある.活性型ビタミンD3製剤には,ビタミンD作用不足を改善する効果が期待されることから,特に高齢者を中心とした骨折リスクの高い骨粗鬆症患者に対しては他の骨粗鬆症治療薬との併用を検討する.テリパラチド毎日SERM エルデカルシトールテリパラチド週1回骨代謝抑制骨代謝刺激骨密度アルファカルシドール大腿骨近位部・非椎体・椎体骨折抑制非椎体・椎体骨折抑制椎体骨折抑制ビスホスホネートデノスマブ図4骨密度・骨代謝および骨折に対する各治療薬の効果