カレントテラピー 32-10 サンプル

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82 Current Therapy 2014 Vol.32 No.101030与時のインフルエンザ様症状の発現頻度は10%未満と低い.2 デノスマブ破骨細胞形成に必須のサイトカインであるreceptoractivator of NF-κB ligand(RANKL)の中和抗体として開発されたデノスマブ(denosumab)は,強い破骨細胞形成抑制作用を有し,骨吸収を強力に抑制する.臨床試験では,6カ月毎にデノスマブ投与を続けることで,持続的な骨密度の上昇が得られることが示されている.デノスマブによる閉経後骨粗鬆症患者の骨折抑制効果を検証したFREEDOM試験では,椎体・非椎体・大腿骨近位部のいずれの部位の骨折も,デノスマブ投与群でプラセボ群に比較して減少することが報告されている7).本試験は,4年目以降はプラセボ群なしの延長試験に移行しており,少なくとも6年間にわたり一貫したデノスマブによる各部位の骨折抑制効果が実証されている.国内第Ⅲ相試験であるDIRECT試験では,日本人骨粗鬆症患者においてデノスマブ投与によりプラセボ群に比して椎体骨折が65.7%も抑制されることが明らかにされている8).これまでの臨床試験によるデノスマブ治療の特徴は,5年を超えた長期にわたる骨密度上昇効果と骨折抑制効果の持続である.しかしながら,デノスマブはビスホスホネート製剤と同様に,破骨細胞を標的とした骨吸収抑制薬であり,その長期投与においては類似の問題をはらんでいる.これまでのところデノスマブはビスホスホネート製剤ほど長期間かつ多数例に投与されていないため,その安全性と有効性については,今後の検証が必要である.3 選択的エストロゲン受容体モジュレーターエストロゲン受容体に作用してエストロゲンと同様の骨吸収抑制効果を発揮する一群の薬剤を,選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selectiveestrogen receptor modulator:SERM)と称している.特に骨粗鬆症治療薬としてのSERMは,子宮や乳腺においてはエストロゲンと拮抗する作用を持ち,骨や脂質代謝に関してはエストロゲンと類似の作用を発揮するとされている.SERMとして最初に承認された骨粗鬆症治療薬はラロキシフェンであり,次いでバゼドキシフェンが承認されている.SERMの治療対象は閉経後骨粗鬆症患者であり,ビスホスホネート製剤と遜色ない椎体骨折抑制効果を発揮することが示されている.非椎体や大腿骨近位部については,プラセボ対照の無作為化試験における骨折抑制効果は実証されていない.4 テリパラチド副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の活性を有するフラグメントであるPTH1- 34(テリパラチド)の1日1回投与による閉経後骨粗鬆症治療の臨床試験が海外で進められ,2001年にその椎体骨折および非椎体骨折抑制効果が実証された9).また,わが国では独自に週1回投与による臨床開発が進められ,椎体骨折抑制効果が明らかにされている10).1) ヒト遺伝子組換えPTH1-34 1日1回投与(フォルテオR)テリパラチドの骨折抑制効果を検証するために海外で実施されたFracture Prevention Trial(FPT)では,既存椎体骨折のある閉経後骨粗鬆症女性を対象に,18カ月の前向き無作為化プラセボ対照二重盲検試験が行われ,腰椎骨密度9.7%,大腿骨頸部骨密度2.8%と有意な上昇が認められた9).日本国内の第Ⅲ相試験でも同様の結果が得られている.FPT試験において,テリパラチドはプラセボと比較して,椎体骨折を65%抑制し,非椎体骨折を53%抑制すると報告されている9).テリパラチド投与により,骨形成マーカーである血清Ⅰ型プロコラーゲンN末端プロペプチド(procollagentype I C-terminal propeptide:P1NP)が開始後1カ月で上昇し,遅れて骨吸収マーカーである尿中Ⅰ型コラーゲン架橋N - テロペプチド(N - terminal telopeptide of type I collagen:NTX)の上昇を認める.両者の乖離期間は“anabolic window”と呼ばれ,テリパラチドが投与早期から骨密度上昇をもたらす機序とされている.なお,テリパラチドは骨代謝を活性化することから,骨吸収抑制薬関連顎骨壊死症の患者への投与が試みられており,顎骨壊死病変の改善を認めたとする報告が多数発表されている.テリパラチドを長期間ラットに投与すると高率に