カレントテラピー 32-10 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.10 81治療薬解説1029また,ミノドロン酸は,日本人の骨粗鬆症患者を対象としたプラセボとの比較試験により,その椎体骨折抑制効果が明らかにされた唯一のビスホスホネート製剤であるという特徴を有する.アレンドロネートとリセドロネートは海外臨床試験の結果から,椎体・非椎体・大腿骨近位部いずれの骨折に対しても抑制効果が認められること,その作用機序は性や年齢に依存しないと考えられることから,骨粗鬆症患者全般に用いることができる薬剤である.その椎体骨折抑制効果は投与開始後半年から1年くらいで認められる.大腿骨近位部骨折の抑制効果を得るには2ないし3年程度の継続が必要とされている.一方,ビスホスホネート製剤の骨折抑制については,5年を超えての継続で得られる効果は必ずしも明確ではないとする意見もある4).ビスホスホネート製剤の長期投与については,後述する有害事象の懸念もあり,再考の時期を迎えている.ただし,骨折リスクは個々の患者で異なることから,数年ごとにその時点での骨密度やFRAXRの結果を参考にしてビスホスホネート製剤継続の是非を検討することが提案されている(図2)5),6).ビスホスホネート製剤のみならず強力な骨吸収抑制薬を長期間投与することに伴い,骨代謝の過剰抑制に関連した有害事象として顎骨壊死および大腿骨非定型骨折のリスクが生じるとされている.前者は10万人・年あたり1例程度,後者は大腿骨近位部骨折の1~4%程度とされるため,一般的には有害事象による不利益よりも骨折抑制効果による利益のほうが大きいと考えられる.顎骨壊死は,感染症である骨髄炎が治癒せずに腐骨が形成される現象であり,管理不良の糖尿病や担癌患者あるいは口腔内衛生不良などの問題が背景に存在することが大半である点に留意する.2)静注製剤現在,国内ではアレンドロネートとイバンドロネートの二種類のビスホスホネート製剤が静注薬として使用可能である.静注薬の利点は,経口製剤では吸収効率不良や内服継続の困難さから期待通りの治療効果が得られない患者において,これらの問題点が解消される可能性があることである.いずれの薬剤も1カ月に1回の点滴静注(アレンドロネート)もしくは静注(イバンドロネート)で投与されることから,定期的な通院により確実な治療効果が期待できるという利点がある.静注ビスホスホネートでは特に初回投与時に発熱や頭痛などのインフルエンザ様症状(急性期反応)を生じることが知られている.ただし,その症状は1~3日で消失する一過性のものであり,非ステロイド性抗炎症薬(non -steroidal anti inflammatorydrugs:NSAIDs)投与により対処可能なものである.アレンドロネートやイバンドロネートでは,初回投破骨細胞前駆細胞活性型破骨細胞小腸骨吸収抑制骨芽細胞前駆細胞骨芽細胞骨形成促進RANKL テリパラチドc-FosアルファカルシドールエルデカルシトールSERMビスホスホネートRANKLデノスマブCa吸収促進骨細胞図3主な骨粗鬆症治療薬の作用機序SERM:selective estrogen receptormodulator,選択的エストロゲン受容体モジュレーターRANKL:receptor activator of NF-κB ligandRANK:receptor activator of NF-κB→:促進⊥:抑制