カレントテラピー 32-10 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.10 791027Ⅰ はじめに骨粗鬆症治療の目的は骨折の予防である.その目的を達成するためには,必要な対象者に,骨折抑制効果の確かな薬剤を,適切に用いることが重要である.骨折予防が必要とされるのは,骨折リスクの高い患者である.骨粗鬆症治療薬の作用機序や薬剤特性は多様であり,対象となる患者に適した薬剤を選択することが大切である.さらに,骨折抑制効果は一朝一夕に得られるものではなく,少なくとも半年以上の確実な治療継続が必要とされる.とりわけ大腿骨近位部骨折の予防には3年以上の治療継続が求められる.これらの領域に関する最近の知見と研究の進歩について概説する.Ⅱ 骨粗鬆症治療の対象となる患者は?関連学会による『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版』(以下,ガイドライン)に骨粗鬆症に対する薬物治療の開始基準が提案されている(図1)1).薬物治療の開始基準と整合性のある原発性骨粗鬆症の診断基準は,2012年度に改訂版が公表されており,現在はこの診断基準にしたがった診療が推奨されている.これらの指針の特徴は,骨粗鬆症の診断基準に則して薬物治療を始めることはいうまでもないが,予測される骨折リスクを個々の患者で積極的に評価し,骨折リスクが十分に高いと判断された場合は,診断基準を完全に満たさずとも治療を推奨している点である.骨折リスクの評価法についてはいくつかの手法が提案されているが,現在国内での認知度が高くガイドラインでも取り上げられているものはFRAXR(fracturerisk assessment tool)である.FRAXRは人種ごとに作成されており,日本人の疫学データを背景とした今後10年間の骨折リスクの推定が可能となっている.FRAXRはWeb上に無償で公開されている2).Ⅲ 骨粗鬆症治療薬の選択は?骨粗鬆症治療の前提として十分なビタミンDおよ骨粗鬆症の薬物治療竹内靖博** 虎の門病院内分泌センター部長骨粗鬆症の診断と治療― 新たな展開骨粗鬆症治療は,高齢者の骨折を減らすことを主な目的とするものである.これまでに多くの骨折抑制効果を有する治療薬が開発され,確実に骨折を減らすことが可能な時代を迎えている.それらの薬剤の特性を理解し正しく使用することが重要であることはいうまでもないが,骨折予防を目的とするには,長期にわたり粘り強く確実に治療を継続することもまた不可欠である.治療すべき患者の選定,治療薬の選択,治療の継続という3点を常に考慮した骨粗鬆症治療が求められている.a b s t r a c t