カレントテラピー 32-1 サンプル

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70 Current Therapy 2014 Vol.32 No.1703 ペラミビル(ラピアクタR)点滴注射薬で,1回15分間以上かけて点滴するだけで治療が終わる.ただし1回の点滴で十分な効果が得られない場合は,複数回(連日等)点滴することも保険診療で認められている.この薬の利点は点滴注射のため,内服も吸入もできない患者,特に重症例や入院例などに適している.また1歳未満の投与も認められていることから,全年齢での使用が可能である.本薬もH1N1亜型においてH275Y変異がみられた場合,オセルタミビルほどではないものの若干影響を受ける(交叉耐性)18).しかし幸いにも現在はH1N1亜型はごくわずかしかみられておらず,H1N1pdmの耐性化率もきわめて低いことからあまり耐性化は問題となっていない.4 ラニナミビル(イナビルR)ラニナミビルは,2010年9月に登場した1回で治療が完結する新しいタイプの吸入薬である.オセルタミビルやザナミビルが細胞表面で効果を発揮するのに対して,ラニナミビルは細胞内に長くとどまることで長期間,効果を発揮すると考えられている.この薬はザナミビルと似て耐性ウイルスを生じにくく,重大な副作用も報告されていない.従来の1日2回5日間使用する薬は症状が軽くなると使用を忘れがちだが,この薬は1回の治療で終わるため,外来でのコンプライアンスに優れており,忙しい成人等に向いている.ただしきちんと薬を吸入しないと十分な効果が得られないため,小児やきわめて高齢の患者では注意が必要である.具体的にはラニナミビルは4歳以下では使用を避けたほうが無難で,5歳以上でも7,8歳位までは事前に吸入がきちんとできるか把握して使用することが望ましい(吸入力が十分あるかどうか確認するための笛もメーカーで用意されている).また薬は家に持ち帰って自宅で吸入するのではなく,医師,看護師,薬剤師などの目の前で指導を受けながら吸入することが望まれる.Ⅵ 治療における薬剤選択について以上に述べたようにNA阻害薬の有効性,安全性については,それほど大きな差がないと考えられるため,一般的には患者の年齢や全身状態を勘案して選択される.今までの日臨内調査などの結果では,外来では特に重症でなければ内服,吸入の3剤が一般的に選択されている2),19).このうち,1歳未満は日本では原則としてオセルタミビルは使用できないことになっているが前述のように米国では使用が認められるようになり,日本0***(時間) ***102030405060***オセルタミビルザナミビル〈10歳10~19歳20歳~ 〈10歳10~19歳20歳~30.658.222.625.8 24.742.332.022.530.635.028.626.925.827.631.5H1N1ソ連( 2007/08) H1N1ソ連( 2008/09) H1N1pdm( 2009/10)***:p<0.001図22007-08年シーズン以降の3シーズンのH1N1亜型におけるオセルタミビルとザナミビルの解熱時間〔参考文献17)より引用改変〕