カレントテラピー 32-1 サンプル

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66 Current Therapy 2014 Vol.32 No.166Ⅰ はじめに現在,抗インフルエンザ薬治療の中心になっているのはノイラミニダーゼ(neuraminidase:NA)阻害薬であり,これは細胞内で増殖したウイルスが細胞外に出ていくのを阻止することで薬効を発揮する.本阻害薬はvon Itzsteinら1)がX線による三次元構造解析により得たNAの立体構造モデルを元に分子設計し,合成した吸入薬のザナミビル(リレンザR)が最初である.これに少し遅れて経口薬のオセルタミビル(タミフルR)が合成開発され,いずれも2001年に保険適用となった2).この2剤は1日2回5日間使用するが,その後2010年に1回で治療を完結できる点滴注射薬のペラミビル(ラピアクタR,ただし複数回投与も可)と吸入薬のラニナミビル(イナビルR)が市販され,現在は4種類となっている3)~5).図1はこれら4種類のNA阻害薬の構造式を示すが,いずれも基本骨格は最初に開発されたザナミビルと類似している6),7).ただしNAとの結合部位はオセルタミビルでは疏水基,ザナミビルとラニナミビルはguanidino基,ペラミビルは疏水基とguanidino基の両方,というように薬剤によって若干異なることから,NA遺伝子変異に伴う耐性化も各薬剤で異なっている.本稿ではこれらのNA阻害薬について,使用の変遷,使用方法,有効性と安全性,各論,薬剤選択などについて述べる.Ⅱ NA阻害薬の使用の変遷2000年代前半は内服薬のオセルタミビルと,NA阻害薬とは作用機序の異なるアマンタジン(1998年ノイラミニダーゼ阻害薬河合直樹*1・池松秀之*2*1 河合内科医院長/日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長*2 九州大学先端医療イノベーションセンター臨床試験部門特任教授インフルエンザ診断と治療の最前線―抗インフルエンザ薬の時代を迎えてノイラミニダーゼ(neuraminidase:NA)阻害薬は従来のオセルタミビル,ザナミビルに加えて,2010年にペラミビル,ラニナミビルが登場したことで計4種類に増え,投与経路(内服,吸入,点滴静注),投与回数(1日2回5日間,単回)など選択の幅が拡がった.オセルタミビルは2008-09年シーズンにH1N1ソ連型がH275Y変異による耐性化を起こして特に小児で有効性が低下したが,2009年春のパンデミックウイルス登場以降,ソ連型が姿を消したため高い有効性が戻った.いずれの薬剤もA型では有効性が高いが,B型ではA型よりもやや有効性が劣る.オセルタミビルは幼小児,高齢者でも使用が容易であり,ザナミビルは比較的ウイルス残存率が低い傾向にある.またペラミビルは内服・吸入の困難例や1歳未満例でも使用可能で入院重症例に適しており,ラニナミビルは単回投与のため外来でのコンプライアンスに優れるなど,各薬剤にはそれぞれ利点がある.これらのNA阻害薬は年齢,全身状態等を勘案し,患者に適した薬剤を選択することが望まれる.a b s t r a c t