カレントテラピー 31-7 サンプル

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カレントテラピー 31-7 サンプル

56 Current Therapy 2013 Vol.31 No.7722泌臓器を含む多くの全身臓器の細胞膜に存在し,ホモダイマーあるいはKCNJ3とのヘテロダイマーを形成して存在する.ホモダイマーと比較し,ヘテロダイマーはドーパミンD2などのGタンパク質共役受容体(G protein -coupled receptor:GPCR)による活性が高いことが知られている5), 11).これまでKCNJ5変異は,G387R変異の機能喪失型変異が先天性QT延長症候群の家系で報告されている12).ChoiらによりAPAに報告されたKCNJ5 変異は,Kイオンのフィルターに関与する151番目のアミノ酸のグリシンからアルギニンへの置換(G151R)と168番目のロイシンからアルギニンへの置換(L168R)に集中し強いホットスポットを認めた.ホットスポットがあることから予想されるように,これらの変異は機能獲得型の変異で,本来のKチャネルからNaイオンが流入するようになり,脱分極の後に電位依存性Caチャネルから持続的にCaイオンが流入し,アルドステロンの合成亢進および細胞増殖への関与が示された6()図1).アルドステロン合成亢進に関するメカニズムとして,KCNJ5変異症例では野生型と比較しCYP11B2発現が増加しているとの報告が多く,副腎癌細胞株での検討においてもKCNJ5変異を強制発現させることによりCYP11B2 mRNA発現や遺伝子プロモーター活性の増加が報告されている13), 14).しかし,KCNJ5変異により細胞増殖が引き起こされるメカニズムはこれまで明らかにはされていない.Ⅳ 家族性アルドステロン症Ⅲ型もKCNJ5遺伝子異常による!FHは3型あり,FH Ⅰ 型はGRAともよばれ,脱分極AT1RAngⅡPNurr1 PNGF1BCaM/CaMキナーゼCYP11B2アルドステロン合成[Ca2+]K+K+チャネルKCNJ5野生型Na2+K2+チャネルKCNJ5変異型Ca2+Ca2+チャネル図1 APAにおけるKCNJ5 変異によるアルドステロン過剰産生のメカニズムKCNJ5 変異ではNaイオンが流入し,脱分極後電位依存性Ca2+チャネルより持続的にCaイオンの流入が続き,CaM経路が刺激されCYP11B2(アルドステロン産生酵素)の合成が刺激される.