カレントテラピー 31-5 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.5 7461COPD― その病態と最新治療―企画自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門教授/副院長杉山幸比古慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は喫煙歴のある高齢者の疾患であり,日本では500~600万人の患者数が想定されているが,診断率は低く,20万人程度が診断されているにすぎないといわれている.またCOPDは近い将来,世界で死亡原因の第3位になると予想されており,きわめて重要なcommon diseaseである.診断率が低い理由としては,一般での認知度の低さや慢性に経過する疾患のため,患者が単なる老化現象と考えていることなどが挙げられている.COPD患者では,認知症などの高次神経機能障害,胃食道逆流症(gastroesophageal refluxdisease:GERD)や消化性潰瘍,虚血性心疾患などの心血管系疾患,骨粗鬆症,糖尿病,睡眠障害,うつといったさまざまな全身併存症の存在が近年注目されている.これらが併存すると,COPD患者の予後不良につながる点も指摘されている.COPDを全身疾患としてとらえ,一般の内科疾患患者のなかに少なからぬCOPDが存在することを認識して,COPDおよびその併存症の早期発見,早期治療が重要であることも指摘されている.これまでCOPDの病期は,1秒量の予測値に対する比率(%1秒量)で決定され,その病期によって治療を選択していく方向性が示されていた.しかし,近年%1秒量と患者の呼吸困難の程度,増悪の頻度は必ずしもよい相関を示さないことが報告されてきた.新しい国際ガイドラインのGOLD2011ではこういった点を踏まえて,病期の評価を「自覚症状の程度」と「危険因子」の2つの因子で多面的に評価したうえで4つのカテゴリーに分類し,これによって治療を選択することが示されている.治療薬の面では,長時間作用型の吸入抗コリン薬(LAMA)(チオトロピウム)に加えて,最近,新しい長時間作用型β2 刺激薬(LABA)としてインダカテロールが導入され,チオトロピウムに優るとも劣らない成績も報告されている.インダカテロールが用いられる吸入具の利便性も評価されており,さらにこの吸入具を用いる抗コリン薬もすでに発売され,今後これらのLABAとLAMAの合剤の開発も進められている.Common diseaseとしてきわめて重要なCOPDに関して,こういった新しい流れを本特集から感じていただければ幸いである.COPDの新しい流れ