カレントテラピー 31-3サンプル

カレントテラピー 31-3サンプル page 5/30

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血栓性疾患―薬効薬理と病態生理に基づいた治療戦略の展開血栓性疾患の病理と病態山下*1*2篤・浅田祐士郎本稿では,急性心筋梗塞や脳梗塞である動脈血栓症,および静脈血栓塞栓症の病理と病態を概説する.動脈硬化....

血栓性疾患―薬効薬理と病態生理に基づいた治療戦略の展開血栓性疾患の病理と病態山下*1*2篤・浅田祐士郎本稿では,急性心筋梗塞や脳梗塞である動脈血栓症,および静脈血栓塞栓症の病理と病態を概説する.動脈硬化巣(プラーク)を基盤とした血栓症であるアテローム血栓症は,プラーク破綻に伴う閉塞性血栓の形成により発症する.従来,動脈血栓は血小板血栓であるとされてきたが,急性心筋梗塞や脳梗塞のアテローム血栓は血小板とともに多量のフィブリンを含み,それにはプラークに存在する組織因子(血液凝固の開始因子)が重要な役割を果たしている.一方,静脈血栓ではフィブリンと赤血球に富む赤色血栓が形成されると理解されているが,肉眼的に白色を呈する部は血小板とフィブリンに富み,赤色を呈する部は血小板とフィブリンの網状構造に赤血球が取り込まれた構築をしている.このように,アテローム血栓と静脈血栓では血小板も凝固系も重要であり,その関与の度合いに違いがあるものと考えられる.Ⅰはじめに現在の日本人の死因のうち,心疾患と脳血管疾患は第二位と第三位を占め,両者を合わせると第一位の悪性新生物に匹敵する割合を占める.生活様式の欧米化や生活習慣病の増加,人口の高齢化などに伴い,心血管病は今後も増加すると予想される.これらの心血管病の多くが,動脈硬化巣(プラーク)を素地として起きる血栓形成によって発症する「アテローム血栓症」と,深部静脈血栓や心房内血栓による「血栓塞栓症」からなる.血栓形成はVirchow’striadとよばれる1血管壁の変化,2血流の変化,3血液成分の変化,の3要因が密接に関連し合って進行すると考えられている.動脈における血栓形成では,血管壁の変化,特に動脈硬化病変の存在とその傷害が最も重要とされるが,静脈や心房では血流の変化(血液のうっ滞,乱流,静止)と血液成分の変化(凝固能の亢進)がより重要視されている.本稿では,アテローム血栓症および血栓塞栓症の病理と血栓形成機序について概説し,梗塞に伴う組織の変化,血管炎,微小血管血栓症,外傷に伴う血栓症などは割愛する.Ⅱ冠動脈アテローム血栓症の病理心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントの多くが,動脈硬化症を基盤とした血栓症により起こる.心筋梗塞や脳梗塞の多くは,プラークの破綻に伴う大きな血栓形成により,動脈が閉塞または亜閉塞をきたす一連の疾患群としてとらえられており,アテローム血栓症とよばれている.従来,動脈血栓は血小板血栓であるとされてきたが,急性心筋梗塞症例の冠*1宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野助教*2宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野教授8Current Therapy 2013 Vol.31 No.3246