カレントテラピー 31-10 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.10 711068がすでにこの頃の高用量の利尿薬を用いた臨床試験でも明らかであったことは興味深い.HCTZは米国では主要な降圧薬のひとつとなり,1967年にはVA研究でヒドララジン,レセルピンとの併用でプラセボ群と比べ比較的重症の高血圧患者の予後を改善することを示した3).その後いくつもの高血圧臨床試験が行われ,利尿薬はほとんどの試験で用いられている.表1にその試験の結果をまとめた.今では利尿薬は低用量を主としてレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬と併用することにより安全に降圧を達成し,心血管イベントの減少が期待できる降圧薬という位置づけである.現在合剤としてHCTZ(6.25~12.5mg),単剤としてインダパミド(1mg,2mg),トリクロルメチアジド(1mg,2mg)が本邦で使用可能である.クロルタリドンは米国ではよく使用されている薬剤でALLHAT研究4),SHEP研究5)などエビデンスも豊富であるが,残念ながら本邦では発売中止となった.2 薬物動態的な違い表2 6)にいくつかのサイアザイド系およびサイアザイド類似の利尿薬の薬物動態を示す.クロルタリドンは蛋白結合率が高く,排泄半減期が長いことが特徴である.インダパミドは肝代謝される.3 エビデンスからみる利尿薬間の違い利尿薬同士を,心血管イベントをアウトカムとして比較した研究は存在しない.したがって利尿薬間に優劣があるとすれば,利尿薬と他の薬剤との比較試験から間接的に考察するしかない.プラセボとの比較において用量は異なるものの,表1に示すようにそれぞれの薬剤で心血管イベントリスクを減少させるという報告がある.HCTZはVA研究3)の他,MRC高齢者高血圧研究7),Oslo研究8),a 利尿薬とプラセボを比較した高血圧臨床試験試験名利尿薬対照結果VA研究 1 HCTZ(レセルピン,ヒドララジン併用)プラセボ心血管イベント減少(心不全,大動脈瘤破裂など)VA研究 2 HCTZ(レセルピン,ヒドララジン併用)プラセボ心血管イベント減少(脳卒中など)Oslo研究HCTZ(トリアムテレン併用) プラセボ脳卒中減少欧州高齢者高血圧研究HCTZ プラセボ心血管イベント減少(心筋梗塞,心血管死亡,脳卒中)MRC高齢者高血圧研究HCTZ(カリウム保持性利尿薬併用)プラセボ脳卒中,心筋梗塞減少MRC軽症高血圧ベンドロフルメチアジドプラセボ脳卒中減少SHEP クロルタリドン(カリウム補給) プラセボ脳卒中,心筋梗塞減少PATS インダパミドプラセボ脳卒中(二次予防)減少HYVET インダパミド(ペリンドプリル併用)プラセボ心血管イベント,総死亡減少b 利尿薬と他の降圧薬の比較試験試験名利尿薬比較結果ANBP2 HCTZ ACE阻害薬ACE阻害薬群で心筋梗塞リスク(男性)低いINSIGHT HCTZ 長時間作用型ニフェジピン心血管イベント有意差なしACCOMPLISH HCTZとベナゼプリル合剤アムロジピンとベナゼプリル合剤アムロジピン+ ベナゼプリルで心血管イベントリスク低いALLHAT クロルタリドンアムロジピン,リシノプリル心筋梗塞有意差なし.脳卒中リスクではリシノプリルより優れる表1利尿薬の臨床試験