カレントテラピー 31-10 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.10 631060Ⅰ はじめに食品の開発とマーケティングに携わって三十余年,ここ10年はさまざまな分野の食品企業で減塩食品開発と導入のサポートを行ってきた.今回はその経験から浮き彫りになる「減塩食品の現状(開発・導入時の課題)と今後の展望」について紹介する.はじめに,なぜ私が各社の減塩食品開発に深くかかわることができるのかについて説明しなくてはならない.それは,アミノ酸の高分子体であるγ-ポリグルタミン酸(納豆の糸引き成分でビタミンK2非含有)が「通常品と同等レベルの美味しい減塩食品」を作るための重要な鍵を握っていること見出し,さまざまな食品分野の開発者とともに減塩技術を育み,マーケッターとともに減塩食品を世に送り出してきたことが大きな理由である.そのためここに記述することは,私個人の考えだけではなく,私とともに歩んだ数十社の思いと悩みの一片でもある.また,昨今は低カロリーや減塩のレシピ本が好調な売れ行きを示しているようである.もしそのレシピに「美味しい減塩食品」が上手く利用されれば,日本人の食事の減塩化は一層進むことになると思われる.Ⅱ 日本人の食塩摂取量と食塩の用途別需要2013年1月31日に世界保健機関(WHO)は成人1日当たりのガイドラインとして食塩5g未満,カリウム3,510mg以上を勧告した.日本人の食塩摂取量は厚生労働省の国民健康・栄養調査(表1)によると,2011年は国民平均で1日当たり10.1g(成人10.4g)となっている.これは10年前の2001年との比較でみると▲1.5g(87%)〔成人▲1.8g(85%)〕と低下して減塩食品の現状(開発・導入時の課題)と今後の展望野村善博*日本の伝統食品の納豆に含まれる成分γ-ポリグルタミン酸にはカリウム塩の味の欠点を補う機能があり,この機能に補完技術を加えて,ようやく通常品と区別のつかないような美味しい減塩食品がさまざまな食品分野で登場しはじめた.こうした減塩食品やそれを利用した食事はストレスなく継続することができるので,日本人の食塩摂取量の低減に貢献できるはずである.しかし減塩食品は安価な原料である食塩の使用量を減らすために若干割高になることや,減塩は美味しくないというイメージが払拭できていないのも事実である.その一方で,減塩食品を発売する食品メーカーも売れなければ販売を継続することができないという現実がある.今,健康寿命という観点から減塩運動が高揚するなかで,こうした美味しい減塩食品が沢山あることを広く伝えることは非常に重要な意味をもっている.* 味の素株式会社 バイオ・ファイン事業本部 アミノ酸部マーケティンググループ 部長減塩運動の効果と今後の展望