カレントテラピー 30-7 サンプル

カレントテラピー 30-7 サンプル page 19/30

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漢方薬療法3真武湯虚弱体質,冷え症で,下痢しやすく,ふわふわ雲のうえを歩いているようといった身体動揺感がある場合に用いる.?消化器症状リックンシトウ1六君子湯比較的虚証で,食欲不振や食後の膨満感や眠気,....

漢方薬療法3真武湯虚弱体質,冷え症で,下痢しやすく,ふわふわ雲のうえを歩いているようといった身体動揺感がある場合に用いる.?消化器症状リックンシトウ1六君子湯比較的虚証で,食欲不振や食後の膨満感や眠気,悪心,嘔吐,下痢などがみられる場合に用いる.心窩部に振水音を認める.最近成長ホルモン分泌促進ペプチドであるグレリンを介する作用が明らかにされている10).ダイケンチュウトウ2大建中湯虚証で,腹部が冷えて痛み,腹痛,腹部膨満や鼓腸のある場合に用いる.最近アドレノメデュリンを11介する大腸での抗炎症,抗癒着作用)が明らかにされている.ハンゲシャシントウケイシこのほか,中間証では半夏瀉心湯,虚証では桂枝カシャクヤクトウショウケンチュウトウ加芍薬湯,小建中湯,人参湯,真武湯などが頻用される.2)糖尿病腎症に対して腎症の発症・進展を抑制するために,漢方治療を補助的に考慮する.サイレイトウ1柴苓湯口渇,尿量減少,浮腫,胸脇苦満などを目標に用いる.慢性腎炎やネフローゼ症候群に応用され,糖尿病性腎症において,尿中アルブミン排泄改善の可能性が指摘されている12).2牛車腎気丸有意なBUN低下がみられる13)など,糖尿病性腎症における有用性の報告がなされている.3)糖尿病網膜症に対して現時点では網膜症の発症・進展を抑制する西洋薬は確立されていない.血虚に対する基本的処方であシモツトウウンセイインジュウゼンタイホトウる四物湯を含んだ温清飲や十全大補湯に血管の再生を促す可能性が期待される14)が,まとまった報告はみられない.4)大血管障害に対して糖尿病はすでに耐糖能異常の時期から,肥満,特に内臓肥満,高血圧や脂質異常症と関連して動脈硬化とかかわり,メタボリックシンドロームの大きな因子である.したがって大血管障害の効果的な予防のためには,各危険因子を厳格にコントロールすることが重要である.糖尿病の大血管障害のなかでも冠動脈疾患は,成人糖尿病患者の死因の第1を占めるが,われわれは,サイコカリュウコツボ2型糖尿病患者の冠動脈疾患に対する柴胡加竜骨牡レイトウ蠣湯の有効性を,超高速CTを用いて3年間にわたって検討し,柴胡加竜骨牡蠣湯を投与した群ではべラプロスト群に比較して有意に冠動脈石灰化の進展を抑制することを報告している15).柴胡加竜骨牡蠣湯は鎮静効果をもつ竜骨・牡蠣が配剤され,比較的体力のある人で,精神不安,不眠,イライラ,抑うつなどの精神神経症状が目標となる.また,内臓脂肪蓄積の抑制に対して,現時点では西洋医学的な特効薬はなく,漢方の役割が期待される.われわれは,内臓肥満を伴う2型糖尿病患者74ボウフウツウショウサンボウイオウ例のうち,33例に対して防風通聖散15例,防已黄ギトウトウカクジョウキトウカミショウ耆湯11例,大柴胡湯3例,桃核承気湯2例,加味逍ヨウサン遥散2例を7年間投与したところ,内臓脂肪面積は,漢方治療群で137±46.7→99.1±26.5(p<0.01),非治療群で149.1±50.9→127±55.6(p<0.01)とどちらも改善したが,リバウンドは漢方治療群で軽度であった16).肥満に対する代表的な頻用漢方処方を表3に示す.最も代表的な処方は,防風通聖散と防已黄耆湯である.1防風通聖散実証の肥満では最も代表的な方剤で,大黄・芒消・麻黄・防風・荊芥・薄荷・滑石・梔子・石膏・桔梗・連翹・黄?・川?・当帰・芍薬・白朮・甘草・生姜の18味もの生薬で構成されている.食毒・水毒などを解毒するとされ,体力が充実し,便秘,太鼓腹で,臍を中心に充満するものが適応である.作用機序も解明されつつあり,麻黄に含有されるエフェドリンが交感神経終末からのノルアドレナリン放出を増強して,褐色脂肪組織のβ2,β3,α2アドレナリン受容体を活性化する.また,甘草・荊芥・連翹にはカフェイン様作用があり,ホスホジエステラーゼ阻害作用でcAMPの分解を抑制し,ノルアドレナリンの効果を持続させる17).Current Therapy 2012 Vol.30 No.7 111701