カレントテラピー 30-4サンプル

カレントテラピー 30-4サンプル page 21/28

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治療薬解説この報告ではAChE阻害薬の単独処方に比べ,AChE阻害薬とメマンチンの併用処方群では周辺症状の発現率が低かったことが示されている13).以上の結果は,AChE阻害薬とメマンチンの追加併用の有効性と安全性....

治療薬解説この報告ではAChE阻害薬の単独処方に比べ,AChE阻害薬とメマンチンの併用処方群では周辺症状の発現率が低かったことが示されている13).以上の結果は,AChE阻害薬とメマンチンの追加併用の有効性と安全性を示している.本邦ではAD治療薬がドネぺジルのみであったため,AChE阻害薬とメマンチンの追加併用について考慮されることがなかった.併用開始のタイミングや併用治療の有効性については,今後の詳細な検討が必要であると思われる.4 AD治療薬のdisease modifierとしての作用最近,AD治療薬が対症的な治療というだけでなく,病態そのものに作用し疾患の進行を抑制したり,改善させたりするdisease modifierとしての可能性があるのではないかという考え方が出てきている.AD治療薬投与群ではプラセボ群に比べ,海馬や大脳皮質の年間萎縮率で有意な進行抑制が認められたと報告されている.その分子機構として,ドネぺジルはグルタミン酸毒性に対する神経保護作用や新生神経細胞の生存維持促進作用,さらにアミロイドβタンパク(amyloidβpeptide:Aβ)の蓄積抑制作用などが考えられている14).ガランタミンはADの成因のひとつであるAβの神経毒性に対して保護作用を示し,抗アポトーシスタンパクであるB celllymphoma/leukemia -2(Bcl -2)の発現を増加させる作用があることが報告されている15).また最近,ガランタミンがミクログリアでのニコチン性ACh受容体を介するAβ貪食・分解を促進することも報告された16).AD患者にガランタミンを投与すると脳脊髄液のAβ42量が増加し,タウおよびリン酸化タウの量が減少したと報告されている17).これは,ADに対する病態改善効果(disease modifyingeffect)へ寄与する可能性においても注目される.また,リバスチグミンはグルタミン酸神経毒性に対する抑制効果,神経細胞の軸索伸長作用,熱ショック転写因子の活性増強作用による神経保護作用などが報告されているほか,長期にわたるBuChE阻害が病態改善効果をもたらすことも示唆されている18).さらに,メマンチンはAβの神経毒性に対する保護作用,Aβプラーク形成の抑制作用やタウタンパクの過剰リン酸化の抑制作用などが報告され18),病態改善効果に寄与する可能性が注目を集めている.Ⅲおわりに実際にどのAD患者にはどの薬がいいのかということは,今後検証されるべき課題である.少なくともメマンチンは中等度?高度のADに適用されるため,軽度のADに対する単独使用は難しい.それ以外の薬は,状況に応じた使い分けになる.このようにADに対する治療薬においてAChE阻害薬として唯一使用できたドネペジルのほかに,リバスチグミン,ガランタミン,またNMDA受容体阻害薬としてメマンチンが2011年より使用できるようになった.これらの薬剤は症状改善をもたらすsymptomatictreatmentとしての作用だけでなく,病態そのものに働き病期の進行抑制,病態の改善をもたらすdiseasemodifierとしての作用の可能性を示す基礎研究結果も報告されている.アミロイドカスケードに作用する新規のADに対する治療薬が登場した後もコリンエステラーゼ(cholinesterase:ChE)阻害薬やNMDA受容体阻害薬は長く利用され続けるものと考えられる19).参考文献1)下濱俊:ニコチン性アセチルコリン受容体を介したアルツハイマー病の新しい治療―Nicotinic APL(allosteric potentiatingligand)による神経保護作用とガランタミン―.老年精医誌15:1077 -1090,20042)下濱俊:アルツハイマー病の治療―現状と解決すべき諸問題.日薬理誌131:351-356,20083)Darvesh S, Hopkins DA, Geula C:Neurobiology of butyrylcholinesterase.Nat Rev Neurosci 4:131-138, 20034)Danysz W, Parsons CG, Mobius HJ, et al:Neuroprotectiveand symptomatological action of memantine relevant forAlzheimer’s disease -- a unified glutamatergic hypothesis onthe mechanism of action. Neurotox Res 2:85-97, 20005)Parsons CG, Danysz W, Quack G:Memantine is a clinicallywell tolerated N -methyl -D -aspartate(NMDA)receptorantagonist -- a review of preclinical data. Neuropharmacology38:735 -767, 19996)Grossberg GT, Edwards KR, Zhao Q:Rationale for combinationtherapy with galantamine and memantine in Alzheimer’s disease. J Clin Pharmacol 46:17S-26, 2006Current Therapy 2012 Vol.30 No.435571