カレントテラピー 30-4サンプル

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製品名一般名作用機序血中半減期および代謝副作用ドネぺジル塩酸塩ガランタミン臭化水素酸塩リバスチグミンアリセプトレミニールイクセロンパッチ,リバスタッチパッチAChE阻害作用90時間肝代謝悪心,嘔吐,腹痛,下....

製品名一般名作用機序血中半減期および代謝副作用ドネぺジル塩酸塩ガランタミン臭化水素酸塩リバスチグミンアリセプトレミニールイクセロンパッチ,リバスタッチパッチAChE阻害作用90時間肝代謝悪心,嘔吐,腹痛,下痢AChE阻害作用およびニコチン性受容体へのAPL作用8?10時間肝代謝悪心,嘔吐,食欲不振,下痢AChE阻害作用およびBuChE阻害作用ー(パッチ剤)腎排泄型適応部位皮膚症状,悪心,嘔吐メマンチン塩酸塩メマリーNMDA受容体チャネル阻害作用70時間腎排泄型めまい,傾眠,頭痛,便秘効能(重症度)軽度?高度軽度・中等度軽度・中等度中等度・高度錠,細粒,錠,口腔内崩壊錠,パッチ錠剤型口腔内崩壊錠,内用ゼリー内用液表1AD治療薬の特性(acetylcholine:ACh)が結合するニコチン性ACh受容体部位とは異なるアルステリック活性化リガント(allosteric potentiating ligand:APL)部位に結合することにより,シナプス前膜のニコチン性ACh受容体を刺激しAChだけでなく,ノルエピネフリン,セロトニン,グルタミン酸,γ-アミノ酪酸(gamma-amidbutyric acid:GABA)などの神経伝達物質の放出も促進する作用を併せもつことである1).リバスチグミンは,AChを分解するAChEとブチリルコリンエステラーゼ(butyrylcholinesterase:BuChE)の両者を阻害する作用により,シナプス間隙でのACh濃度を高めて神経伝達が促進する薬剤である2).AChEは神経細胞に発現しているが,BuChEは神経細胞のみでなく,グリア細胞および血管内皮細胞に発現している3).ADの進行に伴い神経細胞の脱落が起こりAChE活性は低下するが,一方,グリア細胞は増生するために相対的にBuChE活性は上昇しており,リバスチグミンのAChE阻害作用に加えてBuChE阻害作用によりさらにシナプス間隙のACh濃度の上昇が期待される.メマンチンは,NMDA受容体に拮抗してシナプティックノイズを抑制することに加え,過剰なCa 2+の流入を抑え,神経細胞傷害を抑制すると考えられている.他のNMDA受容体拮抗薬は生理的な神経伝達にも影響するが,メマンチンは生理的な神経伝達時には受容体から解離するという特徴があり,神経伝達シグナルがうまく伝わることで,記憶・学習機能障害も抑制できると推察されている4),5).2 AD治療薬の使い方いずれのAD治療薬も,国内第Ⅲ相試験においてプラセボ対照に対して認知機能悪化の抑制に有意な効果が示され,治療薬として承認された.薬の服用により症状が劇的に良くなるということは少ないが,表情が明るくなり穏やかになる,イライラがなくなりコミュニケーションが増える,といった効果がみられることがある.薬剤の使用法であるが,ドネぺジルは,軽度および中等度ADに対して1日1回5mgの維持量を,高度ADに対しては1日1回10mgの維持量を経口投与する.ガランタミンは,軽度および中等度ADに対して1日16mg(8mgを1日2回)の維持量を経口投与するが,症状に応じて1日24mg(1回12mgを1日2回)に増量可能である.リバスチグミンは,軽度および中等度ADに対して1日1回18mgを維持量として貼付する.メマンチンは,中等度および高度ADに対して1日1回20mgの維持量を経口投与する.薬剤の併用についてAChE阻害薬同士は併用しないよう,添付文書に明記された.一方で,作用機序の異なるメマンチンであれば,どのAChE阻害薬でも併用できる.ドネペジルに限らず,ガランタミンやリバスチグミンまたはメマンチンとの併用の有効性や可能性を示す結果も海外では報告されている6),7).以上のことから,AD治療薬による治療選択肢を表2に示す.AD治療薬の増量や併用開始のタイミングを考えるには,認知症のステージがひとつの目安となる(表3).また患者の症状から認知症のステージ68Current Therapy 2012 Vol.30 No.4352