カレントテラピー 30-4サンプル

カレントテラピー 30-4サンプル page 17/28

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アルツハイマー病―先制医療に向けての展開コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチン:対症療法薬の使い方a b s t r a c t*下濱俊海外の報告では,アセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase:AChE)阻害薬に....

アルツハイマー病―先制医療に向けての展開コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチン:対症療法薬の使い方a b s t r a c t*下濱俊海外の報告では,アセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase:AChE)阻害薬によるアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)の治療中に有効性や安全性に問題が生じた場合には,他のAChE阻害薬やN-メチル-D-アスパラギン酸(N-methyl-D-aspartic acid:NMDA)受容体拮抗薬であるメマンチンに変更することが有用かつ安全であると示されている.本邦では長い間AD治療薬がドネぺジルのみであったため,薬物の変更やAChE阻害薬へのメマンチン追加併用について考慮されることはなかったが,2011年よりガランタミン,リバスチグミン,メマンチンの新たなAD治療薬が使用可能となった.同じAChE阻害薬に属する薬物であってもその特性には差があるため,変更やメマンチンとの併用の方法を含め選択肢が大幅に増加した.今後,AD患者の特性に合わせた治療が可能になることが期待される.Ⅰはじめにアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)発症後の治療については,本邦では2011年に3つの新たなAD治療薬,ガランタミン(レミニールR),メマンチン(メマリーR),リバスチグミン(イクセロンRパッチ,リバスタッチRパッチ)が承認された.承認された3薬剤のうちメマンチンはN-メチル-D -アスパラギン酸(N -methyl -D -aspartic acid:NMDA)受容体拮抗薬であるが,ほかの2つはドネペジル(アリセプトR)と同じアセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase:AChE)阻害薬に分類される.海外ではすでにドネペジルにこの3薬を加えた4薬剤が標準治療薬とされており,広く使われている.これまでドネぺジルだけであったAD治療薬の選択肢が一挙に広がり,医師・患者・家族にとって大きな朗報である.一方,治療薬の選択肢が広がったことで,各薬剤の使い分けをどう考えればよいのかといった課題が当然出てくる.そこで,本稿ではこれらのAD治療薬の使い方について考えてみたい.ⅡAD治療薬の特性と増量・変更の有用性1 AD治療薬の特性承認されている4薬のうちメマンチンはNMDA受容体拮抗薬であるが,ほかの3薬はAChE阻害薬に分類されている.各薬剤の添付文書から抜粋した特性を表1に示す.薬理学的作用機序としてガランタミンに特徴的な点は,ドネぺジルと同様のAChE阻害作用に加えアロステリックモジュレーターとしてアセチルコリン*札幌医科大学医学部神経内科学講座教授Current Therapy 2012 Vol.30 No.435167