カレントテラピー 30-4サンプル

カレントテラピー 30-4サンプル page 12/28

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アルツハイマー病―先制医療に向けての展開form of prion protein:PrP C)とは異なる構造をもつ異常プリオンタンパク(scrapie form of prionprotein:PrP Sc)が関与していると考えられている3).PrP ScはPrP Cと....

アルツハイマー病―先制医療に向けての展開form of prion protein:PrP C)とは異なる構造をもつ異常プリオンタンパク(scrapie form of prionprotein:PrP Sc)が関与していると考えられている3).PrP ScはPrP Cと全く同じアミノ酸配列をもつが,その立体構造は大きく異なる.PrP Cはα-helixes構造に富み,β-sheet構造をほとんどもたないが,逆にPrP Scはα-helixes構造が少なく,β-sheet構造を豊富に含んでいる4)?6).この立体構造上の違いにより,PrP Scはタンパク分解酵素による分解に抵抗性を示し,アミロイド線維化しやすいといったPrP Cとは異なる特徴を有し7),そのことがプリオン病の発症メカニズムに関与していると考えられている.PrP ScがPrP Cになんらかの理由で接触すると,そのPrP Scを鋳型としてPrP Cのフォールディング異常が引き起こされ,PrP Scに変化していくことによってPrP Scは複製・増殖していくと考えられている3).また,近年,アルツハイマー病(Alzheimer’s disβアミロイドのpropagationによる進展浜口*1*2毅・山田正仁プリオン病が動物からヒト,ヒトからヒトへと個体間を伝播することは広く知られており,医原性プリオン病,変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease:CJD)といった深刻な問題を引き起こしている.脳βアミロイドーシスはアルツハイマー病(Alzheimer’sdisease:AD)の中心的な脳病理所見であるが,近年,プリオン病と同様に脳βアミロイドーシスも個体間で伝播する可能性を示す動物実験の報告が増加している.現時点では,脳βアミロイドーシスのヒトにおける伝播を示す報告はないが,実験動物における報告は,ADでも医療行為や食物による伝播について大規模な疫学研究が必要である可能性を示唆している.本稿では,脳βアミロイドーシスの生体から生体への伝播について,今日までに報告された動物実験を概説し,ヒトで検討された医療行為とAD発症に関する症例対照研究を紹介する.Ⅰはじめにクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeld -Jakobdisease:CJD)に代表されるプリオン病は,脳における海綿状変化と異常プリオンタンパクの蓄積を特徴とする神経変性疾患である.しかし,ウシ海綿状脳症(bovine spongiform encephalopathy:BSE)からヒトへ伝播したと考えられる変異型CJD 1)やヒト乾燥屍体硬膜移植,成長ホルモン療法,および脳外科手術などによって伝播したと考えられる医原性CJD 2)のように,プリオン病は同種間あるいは異種間で伝播し得るという特徴を有し,それらはしばしば大きな社会問題となっている.プリオン病の伝播は,通常の感染症のように細菌,真菌,ウイルスといった核酸をもつ生物が媒介するのではなく,正常なプリオンタンパク(normalcellular*1金沢大学大学院医学系研究科脳病態医学講座脳老化・神経病態学(神経内科)助教*2金沢大学大学院医学系研究科脳病態医学講座脳老化・神経病態学(神経内科)教授52Current Therapy 2012 Vol.30 No.4336