カレントテラピー 30-10 サンプル

カレントテラピー 30-10 サンプル page 32/42

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治療薬解説ⅦTopo isomeraseⅡ阻害剤エトポシドと同様の作用を有する合成化合物が第Ⅱ相試験まで進行した.ただしamanofideは,第Ⅲ相試験において生存で標準療法と比較し勝らなかったと報告されている12), 13).....

治療薬解説ⅦTopo isomeraseⅡ阻害剤エトポシドと同様の作用を有する合成化合物が第Ⅱ相試験まで進行した.ただしamanofideは,第Ⅲ相試験において生存で標準療法と比較し勝らなかったと報告されている12), 13).ⅧSTAT3/PIM阻害剤各種growth factorの下流に属すSTAT 3, 5の阻害14剤が開発されており,固形がんでの第Ⅰ相試験)と同時に造血器でも日本で第Ⅰ相試験が進行中である.In vitroではJAK2遺伝子変異のある骨髄増殖性疾患(myeloproliferative disease:MPD)に限らず,AML細胞株に強力な阻害活性を有していることから開発が進んでいる.PIM1遺伝子は当初マウスのリンパ腫の発症遺伝子として単離されたが,その後,STATによって活性化されることがわかり,その抑制剤が開発されている.固形がんも含めた造血器腫瘍での第Ⅰ相試験が日本でも進行している15).CPX -351はAra -C,ダウノルビシンのそれぞれをリポゾーム製剤化したうえで,モル比5:1で混合した薬剤であり,day 1, 3, 5の投与を行うと7+3療法による治療効果と同様の効果が得られることを期待して開発された16).持続投与に比べて簡便となるように開発されている.Ⅸその他の薬剤経口M1アミノペプチダーゼ阻害剤tosedostat(CHR -2797)が,難治性または再発性のAMLの高齢患者に一定の効果を示し,全奏効率(objectiveresponse rate:ORR)とOSの改善が認められたことが明らかになっている.CD13の阻害剤はすでに日本ではウベニメクスが使用されている.単剤で有効性が得られるほどでなかった17)がtosedostatはM1/17ファミリーのアミノペプチダーゼの新規経口阻害剤で,骨髄芽球が必要とするアミノ酸の枯渇を選択的に誘導することにより,AMLに対する治療効果を発揮すると期待されている.60歳以上のAML患者73例を対象に2群の用量が割り振られ22%というORRを達成し,治療開始から中央値56日で奏効が得られたため,忍容性も十分と考えられる.AMLでは初回治療で三酸化ヒ素(arsenic tri -oxide:ATO)の持続静脈注射が用いられるが,これと同様の結果が経口剤である四硫化四ヒ素でも得られている.北京と上海のグループは全トランス型レチノイン酸(all trans retinoic acid:ATRA)と組み合わせて治療した結果を報告した18).Ⅹ急性リンパ性白血病に対する新たな薬剤(表2)抗CD22抗体にカリケアマイシンを結合させたinotuzumab ozogamicin(IO, CMC-544)が,第Ⅱ相試験の結果において急性白血病に有効であると報告されている19).49例の再発,難反応性ALLで1.8mg/m 2のIOを使用したところ,ORRは57%であった.さらに,in vitroの結果から一回の投与量を減らして回数を増やしたほうが有効性が上がると考えられたため,総投与量は変えずに,day 1, 8, 15にそれぞれ,0.8, 0.5, 0.5mg/m 2で分割投与を行ったところ7例のPh -ALLを含む20例中2例がCR,6例がCRp,2例が骨髄での芽球消失という結果であった.生存期間中央値は71カ月であった.? Bispecific抗体BlinatumomabはCD19とCD3との2つの抗原を認識する二重特異性抗体(bispecific抗体)である20).厳密にいえば,Fc領域を有する通常の抗体構造は取っておらず,シングルペプチドとして産生されたもの(Single chain Fv)であり,CD19陽性細胞とCD3陽性細胞を物理的に結合させ,CD19陽性細胞Current Therapy 2012 Vol.30 No.10107791